image_12

今から6年ほど前、エイズ患者も使用するというトキソプラズマ症などの治療薬ダラプリム(ピリメタミン)を販売権を買収し1錠あたりの費用を55倍近く釣り上げた当時のCEOマーティン・シュクレリ氏に対して連邦裁判所は70億円の罰金を課したと報じられています。

2015年に「全米一嫌われた男」などとも当時言われていたのはチューリング・ファーマシューティカルズの当時のCEO、マーティン・シュクレリです。この企業は2015年2月に創立した企業で、半年後の8月にインパックス・ラボラトリーズ社からダラプリムというエイズ患者も使用するというトキソプラズマ症などの治療薬の販売権を購入しました。

この薬を製造しているのは世界中でも当時インパックス・ラボラトリーズ社のみだったのですが、これに目をつけたのかシュクレリはこれまで1錠13.5ドル(1,600円)で販売していたものを750ドル(90,000円)に爆上げ。これが原因で全米から批判が相次ぎ最も嫌われた男として知られることになりました。
ちなみにこの男は当時「製薬会社として利益を上げる必要があった」といい、13.5ドルという価格は「元値で販売を行なっていただけだ」と指摘。「値上げ後の販売価格であってもエイズ治療薬としては比較的安価なものに属する」と反論していました。

しかし、証券詐欺の容疑で逮捕。2018年3月には懲役7年の実刑判決を受けていました。

▼1錠9万円(1箱30錠入 270万円)に値上げされた薬
image_9

そして今回、連邦裁判所は商品名ダラプリム(薬品名ピリメタミン)に関する反競争的慣行に従事しているなどと、2022年1月14日判断を示し6460万ドル(約70億円)を返済し(罰金)、今後製薬業界で働くことを禁止するという判断を下しました。

問題から実に6年以上が経過しているのですがこの薬に関する問題は一応全て終わりになりそうですが、実はこのような高価な治療薬というのはいくつも存在しています。今回は55倍に釣り上げたため批判を受けているものの、1錠数万円するような薬というのは既にいくつか存在しており、どのような理由でそうなっているのかについては特に指摘はされていません。