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先日、ウクライナがならず者国家から侵攻を受けるという極めて大きい問題が発生したのですが、危機に陥っているウクライナに関して仮に軍事侵攻などを受けた場合米・英など複数の国が全力で守る、つまり安全保障を提供するという覚書が存在することが明らかになりました。

ソ連からの独立国ウクライナ。ソ連から崩壊後、現在のウクライナ地域に存在していたのは大量の核兵器です。その数は1800発と大陸間弾道ミサイルという規模で、アメリカやロシアに次ぐ核保有国でした。そこでアメリカ合衆国、ロシア、イギリスはウクライナやベラルーシ、カザフスタンに対して核兵器をロシアに返還することで放棄。そして現在に至ります。


この対応について、ブダペスト覚書という形で現在も残されており、この覚書では仮にベラルーシ、カザフスタン、ウクライナに軍事的な侵攻などがあった場合は、(軍事)支援を差し伸べるため即座に国連安全保障理事会の行動を依頼するとしています。要するにこのウクライナを含む3カ国に対して米・英・露の軍事力を付与し3カ国を共同で守りますという極めて重要な覚書です。内容は以下の通りです。
  1. ベラルーシ、カザフスタン、ウクライナの独立と主権と既存の国境を尊重する。
  2. ベラルーシ、カザフスタン、ウクライナに対する脅威や武力行使を控える。
  3. ベラルーシ、カザフスタン、ウクライナに政治的影響を与える目的で、経済的圧力をかけることは控える。
  4. 「仮にベラルーシ/カザフスタン/ウクライナが侵略の犠牲者、または核兵器が使用される侵略脅威の対象になってしまう」場合、ベラルーシ、カザフスタン、ウクライナに支援を差し伸べるため即座に国連安全保障理事会の行動を依頼する。
  5. ベラルーシ、カザフスタン、ウクライナに対する核兵器の使用を控える。
  6. これらの誓約事に関して疑義が生じた場合は、互いに協議を行う

覚書を堂々と無視した米英

問題なのは、アメリカがプーチン大統領を呼び捨で「侵略者」と表現したにもかかわらず、米英はウクライナに対してブダペスト覚書を無視。なんと安全保障を提供しないという考えられない対応にでました。これは明確は覚書の義務違反です。

ウクライナはこれまでもロシアがウクライナのクリミア半島に侵攻し侵略したものの、そのときも米英は覚書を堂々と無視。今月22日、ウクライナのクレバ外相は「当時約束していた安全保障(つまり覚書)を履行せよ」と求め、1994年に覚書を交わしたのは「間違いだった」と話しています。

またクラバ外相は「1994年ウクライナは、世界3位規模の核兵器を放棄した。我々は特に米国が提示した安全保障を代価として、核兵器を放棄した」「当時我々は『誰かが我々を攻撃したら、米国が我々を助ける国の一つになる』という約束を交わした」と説明しています。

日本の安全保障もあってないようなもの

ウクライナと米英、日本と米は同盟国かそうでないかは大きな差があるのですが、日本の安全保障というのはそのベースにアメリカの軍事力により担保されています。しかし今回のウクライナの状況を見て、特に尖閣諸島などに中国が侵攻した場合アメリカは行動に出ない可能性があるというものです。

アメリカは安全保障条約の適応になるとしているものの、始まってみないとわからないというのが現状です。

アメリカの「台湾を守る」も無いようなもの

そして米軍基地が存在しない台湾はもっと深刻です。実は台湾とアメリカは『台湾関係法』というもので、アメリカ合衆国と中華民国(台湾)との間の軍事同盟を結んでおり何かあれば全力で守るとしているものの、これを履行する可能性はウクライナを見れば無いこともあるということです。

結局自国は自分で守るしか無い

このような覚書を交わしているにも関わらず守ろうとしないのであれば、自分の家は自分で守ることと同じように自国は自分らで守るしか方法は無いことがウクライナの状況から伺えます。次にウクライナのような状況に陥る国はどこなのか。北にロシア、西に北朝鮮、中国が存在する日本と台湾はそのラインに片足を突っ込んでいる形になっています。

一連の出来事に関してFNNに出演した小野寺元防衛相は「日本もウクライナと同じことになる」と指摘し「日本も同じだ。この問題は必ず日本に影響する。基本的に自国は自国で守るというスタンスがなければ、(ウクライナと)同じようなことになってしまう。私は大変心配している。」と話しています。