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海外メディアによると、アドリア海を挟んで西にイタリアがあるクロアチアの首都ザグレブにソ連製のジェット無人機が墜落するという事故があったと報じられています。この無人機についていったい誰が運用していたものかは明らかになっていません。

The Driveによると現地時間10日夜(?)、クロアチアの首都ザグレブで爆発音と共に地面にクレーターができるという出来事があり、墜落したのはソ連製の無人機Tu-141「Strizh」である可能性が高いと指摘しています。

Tu-141 "Strizh" Missile-Like Drone From The War In Ukraine Looks To Have Crashed In Croatia

墜落した機体については残っている残骸からTu-141「Strizh」の可能性が高いというもので、この機体は1979年に生産が始まり1990年代ごろまでソ連、ロシアでは使われていたというものです。それ以外にはウクライナなど旧ソ連圏の国が使用していました。機体は中距離無人偵察機で全長14m、幅3.8m、最高速度は巡航速度は1000km/h、航続距離は1000kmとなっています(あくまでカタログスペック)



機体には現在のようなデジタルカメラではなくフィルムカメラ、赤外線画像装置等が搭載されているのですが、これが改修され別のものが搭載されている可能性があります。

さて、墜落事故に話を戻すと現地の人によると墜落現場には幅3m、深さ1mちょっとのクレーターができたと話しています。

どの国が運用していたものか

クロアチア

問題はいったいどの国が運用していたのかです。クロアチアはこのような位置にあり、ウクライナとロシアからも遠く離れています。目安としてウクライナの西側、リビウからは直線距離で750km。ベラルーシの国境からは1000km、ロシアの国境からは1400kmほど離れています。つまりこの2つの国から飛行した可能性はかなり低いと考えられます。(あくまでカタログスペック上の話)

その中でもっとも有力候補はウクライナです。ウクライナはこの兵器を保有しており2014年にはこれを改修し使用できるよう復活させたという話があり、ウクライナ侵攻以降2022年3月に入ってからこのTu-141が国内で墜落(撃墜)したという話があります。

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NATO各国を通過も探知できず

問題はいくつかあるのですが、実は防衛面でも問題がでてきます。クロアチアを始め、その東側にあるスロバキア、ハンガリー、ルーマニアはNATO諸国であり、こののいずれかの国を通過してTu-141が墜落したということになるのですが、この機影をNATO諸国はどこも探知できなかったと説明しています。

ただ、これに関しては探知できていた可能性があり、仮にロシア機だった場合撃墜すればそれはそれで大問題になります。もちろん領空侵犯したからといって直ちに撃墜すればいいというものではありません。これはスクランブル発進が行われていたのかなど総合的に見る必要があるのですが、無人機なので呼びかけに応じるようなこともなく、あれこれしているうちに撃墜したということも考えられます。