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撃破される戦車、戦闘機、ヘリ…戦争の生々しい映像が主にウクライナ側からSNSを通じて流れているのですが一方でロシア国防省は約1ヶ月が経った現在、投入した兵士約1万人が死亡したと発表したと報じられています。

これはあくまでTwitterに投稿されているもので該当する記事を見つけられなかったのですが、コムソモリスカヤ・プラウダ (Комсомольская правда)という1925年創刊のシア政府系の日刊紙の内容として、ロシア国防省の公式数値になるのですが約1ヶ月で9,861人が死亡、16,153人が負傷したと発表したそうです。
Twitterによると3月2日、つまり侵攻からしばらく経った時点では498人が死亡したと発表されていたらしくロシア側にも相当な被害がでていることがここからも予想できます。

単純に比較できないものの例えばアメリカが過去に起こした戦争としてイラク戦争(2003~2011年)があるのですが、この8年間におけるアメリカ軍の死者は4489人です。イラクの治安部隊、民間軍事会社、その他の国の兵士を合わせると24,219人です。

このようにロシアのウクライナ侵攻ではわずか1ヶ月あまりで9,861人が死亡したと発表されており、ウクライナ側はもう数千人ほど多い死亡者を発表していることを考えると予想では1万人前後という数値が正しいと考えられます。

想像以上に脆弱だったロシア軍

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そこで気になるのはなぜロシア軍がこれほどの被害がでているのかです。ちょっと軍事に興味のある人であれば「この侵攻、ロシア軍が短期間で勝利する」と予想していたたと思います。当然筆者もその一人だったのですが現状は想像以上に違っていました。

ウクライナ軍はロシアよりも旧式の戦車しかもっておらず、その総力や軍事力についても劣ることは間違いありません。これがそう思った一因です。一方でイラク戦争とは異なり(イラク側も旧式のものが多かったですが)、ウクライナには西側の対空・対戦車ミサイルが供給されたことでロシア軍に想定外の被害がでている可能性があります。

そして実戦経験です。ロシアも実戦経験という点ではシリアで活動しているため『ある』と見てよいのですがアメリカに比べるとノウハウがあるとは言えず、これも被害拡大に繋がっている可能性があります。

この結果についてはプーチン大統領をはじめ彼らの周囲も予想していなかったのではないかと考えられます。ロシア軍は大規模に国境に軍隊を集結させ、まるで第二次世界大戦中のドイツとフランス間の戦争のように高い機動力を活かし一気に短期間で降伏させるという戦略を練っていたと考えられます。

しかし「誘導ミサイルを使い果たしたのではないか」と言われるくらい無誘導兵器も投入しています。長引けば長引くほどロシア軍への被害がでることは確実であり、ロシア経済にも致命的な影響を残す可能性があります。仮に侵略に成功しウクライナを掌握したとして高圧的な態度をとる国家・国民と誰が今後誰が彼らと協力するのか。国としての印象・信頼性が地の底に落ちた状態であり、ロシアの未来は勝利したところで地獄しかないという状況が見え隠れしています。