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ロシア軍が作っているオリジナルの戦車。T-72その発展型T-90、そしてT-80もあるのですが今回のウクライナ侵攻では撃破され砲塔が無惨に吹き飛んだものが多く見受けられます。では専門家目線から何が原因なのか、過去にある方法で防いたこともあったという内容を紹介します。

TASK&PURPOSEというアメリカの軍事系ニュースサイトではウクライナ侵略でロシア系戦車で砲塔が吹っ飛ぶという『ジャック・イン・ザ・ボックス(びっくり箱)』が相次いで発生していることに関してどのような原理で発生するのか紹介しています。

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こちらがジャック・イン・ザ・ボックスと呼ばれる数トンはある砲塔が吹っ飛んだ状態の戦車です。

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これに関してTASK&PURPOSEはまずジャック・イン・ザ・ボックスは「爆風もしくは衝撃波によるともので、戦車無いの全ての砲弾が爆発(誘爆)したときに発生する」としており、その加圧により砲塔を真上に吹き飛ばすとのこと。

その原因はどこにあるのか。記事では「T-72(以下T-90も含める)とT-80は、砲塔の下にあるカルーセルに自動装填メカニズムがあり、そこには通常20発の砲弾が収められている」と構造を説明してます。そのうえで敵の砲弾やミサイルが貫通した場合「通常、この1つもしくは2つの薬莢が爆発します。これが引き金となり他の薬莢が爆竹のように連鎖して爆発する」とのこと。

続けてロシアの戦車の中には「誘爆する砲弾(薬莢含めて)保護されているものも存在していますが、これには問題があります。保護された自動装填部分には砲弾が半分しか入らない」と指摘しています。この表現がよくわからないのですが、要するに通常は戦車内部に40発分入るものの保護されている自動装填部分だけには20発しか入らず、残りの20発は全く保護されていない車内空間に収められるため誘爆しやすいという主張のようです。


TASK&PURPOSEによるとこの誘爆問題は今分かったものではない指摘。この戦車が誕生以降発生した様々な紛争で目撃されているといい、「その時ロシア人は砲弾は保護された自動装填部分にだけ納め、被弾時の損害を減らすことができていた」と説明しています。

しかしなぜ今回砲塔が吹き飛んだ戦車が多くでたのか。理由は砲弾数です。記事では戦闘になった場合20発程度は直ぐに撃ち尽くしてしまうといい、多くの砲弾を搭載した状態で出撃したのではないかという趣旨の説明をしています。

▼アメリカなど西側戦車の砲弾搭載位置。誘爆しても上部の構造の蓋が吹き飛び高圧のガスを逃がす構造になっている
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一方でアメリカのM1といった主力戦車は砲塔内部の別の区画に砲弾を納め仮に誘爆しても車内に入り込まないような工夫がされており、過去に撃破された例でも乗員は逃げることができたと話しています。「M1とロシアの戦車が弾薬を車内保管する方法の違いは、両方の軍隊が生存可能性に劇的に異なる哲学を明らかにしている」と綴っています。

*抄訳したものを掲載しています