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航空分野でもCO2削減などが求められる現在、代替案として燃料電池を使う案、バッテリーを使う案、発電する案、バイオ燃料を使う案などいくつかあるのですが、今回はロケットのように液体水素を使う案がでています。そしてこれが実現できれば同等の量の水素で航続距離が実に4倍になるとも主張されています。

超低温の液体水素。これが気体に戻れば莫大な量になるのですが、それを利用しているのはロケットです。液体酸素と混合し燃焼させることで爆発的なエネルギーを発生させることができます。

一方この液体水素についてはロケット分野以外でどこで使用されているのかはパッと思いつかいないのですが、現在航空分野で利用を目指し、人間が持つことができるほどの軽量な液体水素燃料タンクや各種製品の開発が既にはじまっているそうです。

Ultra-light liquid hydrogen tanks promise to make jet fuel obsolete

開発しているのはGloyer-Taylor LaboratoriesとHyPointという企業です。この2社は共同で超軽量の極低温液体水素タンク(通常の液体水素よりも更に低温にしたもの)や各種コンポーネントの研究・開発しています。同社によると仮にこの液体燃料タンクを積んで化石燃料と同等量の極低温液体水素を搭載した場合、その燃料電池旅客機は従来機よりも4倍も航続距離が伸びるだろうとしています。

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そしてこちらが試作された液体水素燃料タンクです。非常に重そうにしているのですが、重量はわずか12kg。サイズは高さ2.4m、直径1.2mです。これに右側のような構造で包むと総重量は67kgまで増加するのですが、内部には150kgの液体水素を入れることができます。

液体水素は化石燃料と比べると取り出すことができるエネルギーも多いため仮にコスパ良く機体を製造でき液体水素で飛べる旅客機を作れた場合、その燃料費は最大50%ほど削減することができると主張しています。

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問題点はこの手の液体水素の取り扱いが化石燃料に比べ難しい点です。例えばロケットであれば液体水素を注入するのですが、宇宙飛行士が乗り込むのは各種液体燃料が全て入った後です。そして燃料タンクが破断するなどして爆発する懸念がつきまとうことになるのですが、これは現在陸上を移動する液化天然ガスのトラックをみてもわかるようにそこまで高いものではないとも考えられます。

しかし、化石燃料とは異なる安全性をどう確保するのか。旅客機への液体水素の注入技術やその輸送・生産・保管といった陸の問題があります。タンクの耐久性なども当然求められるところで、旅客機分野の大規模な規制で敷かれ開発が加速でもされない限り、少なくとも向こう10年以上は実用化は難しいと考えられます。