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アメリカでは2021年に米国食品医薬品局が承認したのは老眼を改善する目薬です。通常はメガネやコンタクト、物理的には手術をする以外で改善するのは難しいのですが、なぜ目薬だけで改善することができるのでしょうか。

Vuityと呼ばれる目薬については検眼医からも本当に効果があるのかという疑問が寄せられるほどのものだったのですが、なぜ手術などをしなくても視力を改善することができるのでしょうか。

老眼になると手前の視力調整が難しくなります。そのためお年寄りの方は腕を伸ばしてものを見ようとします。カメラではいわゆる最短撮影距離が長くなり手前ではピントが合わない状況が強くなるというものです。

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では老眼はどのような状態なのか。これについては一説によるとと加齢とともに瞳孔の調整に柔軟性がないくなるためだといわれています。これはそれを調整する筋肉の衰えもあり、その両方で老眼が発生するとのこと。

ではVuityを点眼するとどうなるのか。この目薬の有効成分は『ピロカルピン』です。これは1800年代に発見され、これまでも緑内障や高眼圧症の目薬として利用されているとのこと。老眼でも効き始めるのは点眼から15分後。一度点眼すれば6時間効果が持続するとのこと。

『ピロカルピン』で老眼が改善する理由は瞳孔を縮めるという作用を利用しています。カメラを使用されている方であればわかると思うのですが、絞り(F値)を大きくすればするほど手前から奥のものまでピントがあいやすくなります。これを人間の瞳孔を縮めることでレンズを絞った状態つまりF値を高くした状態を作り出します。つまり見たいところを中心に確実ではないもののピントが一応あいやすくなるというものです。

▼上、瞳を縮めた小さくした例、カメラではF値を大きくした例。見たところを(画像では女性の図)の前後の広い範囲でピントがあったような状態になる。要するにカメラなどで『F1.4』といった絞り値が下の図(b)でF11といった状態が上の図になります。
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▼F値による見え方の違い


Vuityについてはアメリカでは1日1回の使用として承認されています。目薬は1ヶ月分で80ドルです。もちろん医師の診察を行った上で処方されます。その他にはピロカルピンを使用しない非ステロイド性抗炎症薬を用いた目薬も開発しています。

*抄訳したものを掲載しています。医学的な内容につきましては必ず医師の説明を受けてください。