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ロシアの戦車に共通して存在するのは戦車内の砲弾が誘爆することで砲塔が吹き飛ぶというものです。これはイラク戦争時に撃破した戦車が吹き飛ぶ様子を見てアメリカ軍が『びっくり箱』と付けたことが由来になっているのですが、先日状況が分からないものの、T-72の砲塔が数十メートル上空に飛び上がる映像が撮影されました。



ツイートによると映像は2022年5月5日、マリウポリ郊外で撮影されたものだとしており、爆発したのはT-72B3としています。状況を紹介するとこうなります。

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こちらが爆発前の様子。道路にはトラックや一般の乗用車が複数走っており、前方で砂煙のような、火災のような煙が確認できそれを見守る人もいます。「

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そして間もなく何らかの爆発が発生します。問題なのはこの爆発がどのような状況で発生したのかです。この状況からは少なくともウクライナとロシアがここで戦闘していたとは考えられません。

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そしてかなりの大爆発となり砲塔が浮かび上がります

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こちらが飛び上がったT-72とされる砲塔です。

T-72シリーズ、つまりT-80やT-90に関しては西側戦車のように砲塔後部閉ざされた部分に砲弾を搭載しているのではなく、車体下部に自動装填用の砲弾そして車内に予備砲弾があります。この車内の予備砲弾は西側戦車にも存在はしていることがあるのですが、現在は不明です。

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そのためこの砲弾に何らかの攻撃で誘爆すると内圧が急速に高まることになります。そしてT-72シリーズでは砲塔が吹き飛ぶということが1991年以降、何十年も前から確認されています。

T-72の砲塔は装備にもよると感がられるのですが10~12トンの重さがあるとされ、これが空高く飛び上がるというのは相当な爆発が必要です。今回の爆発については状況がよく分からず、このような砲塔の飛び上がり方をするのかという疑問もあるため、意図的に爆発された可能性もゼロではないと考えられます。

爆発の規模は異なりますが、現在ウクライナに投入されているロシア系戦車にはこのような潜在的な欠陥があることは大手メディアも認めているとろです。しかしSNS等ではT-72系の欠陥は「欠陥ではない」「〇〇で保護されている」などと『図面上の仕様』と『実際の状況』の差を見ないような主張を繰り返すものが見受けられます。

CNNのインタビューで答えたイギリス軍将校出身防衛産業アナリスト ニカラス・ドラモンド氏によると、「(T-72系の)このような設計欠陥の最大の問題は、被撃時に戦車に搭乗した戦車兵の命を保障するのが難しいということだ」「(西側戦車は)正確に被撃しても戦車が損傷するだけで必ずしも兵士が死なないわけではないが、ロシア戦車は被撃時に1秒以内に脱出できなければ文字通り終了する」と説明しています。