PFM-1

ウクライナに侵攻をはじめて3ヶ月が経ったロシア。想定外の被害に躊躇なく民間人の殺戮も行っているのですが、そんなロシア軍がアメリカでは「悪魔の兵器」などと呼ばれている空中散布式対人地雷PFM-1を使用していることが明らかになりました。

軍事に興味の無い方でもこの形の兵器はテレビや映画でも見たことがあると思います。これは見出しでも紹介したように『PFM-1』と呼ばれる対人地雷でロケット砲弾に収められた状態で発射し空中でばらまくという兵器になります。


PFM-1

まずどのように空中散布されるのか簡単に紹介します。発射するのは一般的にこのような多連装ロケット砲です。後部に円柱状のロケットが複数収められているものです。
BM-27 Uragan

▼こちらがロケット本体。先端の弾頭部分に様々なものが収められます。
9M27K3_1

▼こちらがPFM-1を大量に収めたカートリッジを運搬する9M27K2と呼ばれる弾頭です。ロケットは他にもあります。
9M27K3_2

▼この植物の種のような一つのカートリッジ、上の画像では緑の1つです。
9M27K3_3
こちらはKPFM-1Мと呼ばれるカートリッジです。その内部には大量の対戦車地雷PTM-1が収められており、ロケット弾一発あたり合計で321発入っているものもあるとのこと。
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PFM-1の動作

PFM-1はこのようにロケット砲で発射されターゲット上空で広範囲に対人地雷をばらまくという運用方法になります。散布されたPFM-1は個々の距離が10mを超えないようにばらまかれるというもので、1発あたり最大150ヘクタールを地雷で汚染することができます。
地面に落下後、1~10分後に自動的に起動し地雷として作動します。ただ、1~40時間後に自爆するするように設計されているものの、うち10数%が自爆せず不発として残るとされています。

Wikipediaには「明るいペイントは不発時や作戦終了による地雷撤去時の発見をしやすくするために視認性を向上させるためのものである」などと意味不明なことが堂々と記載されているのですがこれは大きな誤りです。そもそも地雷は敵に発見されないことを目的とした兵器です。

PFM-1_1

PFM-1には茶色や白、緑のペイントが施されたものがあり地表の色を元にしています。「視認性を向上させるため」であれば常識的に考えても自然の地面にはない色、例えば鮮やかなピンクや白、オレンジ、作業員が着ているようなシルバーなどの蛍光色が用いられるのですがそうはなっていません。

▼ウクライナにばらまかれたPFM-1
PFM-1 ウクライナ

PFM-1 ウクライナ_1

特に緑色は欧州の草原地帯などで使用するためそのようなカモフラージュの意味を込めて緑色に、茶色は中東など乾燥した地域で使用するためこの色をあえて採用しているものです。今回撮影された色が茶色であるのもウクライナの地表の色にあわせたものを使用しています。
このように「視認性を向上させるためのものである」という表現は全くの誤りです。