Auto-GCAS

人体の限界を越える加速度(G)が加わることで意識を失ってしまうことがある戦闘機パイロット。当然、意識を失えば墜落に至るケースも出てくるのですが、これに関して、昨年だけで自動地上衝突回避システムにより2人のパイロットの命が救われたと報じられています。

ポピュラーメカニクスというウェブサイトによると、2020年における事故として、2機のF-16戦闘機のパイロット2人が高加速度のため意識を失い、機体に搭載した自動地上衝突回避システム(Auto-GCAS)が作動し戦闘機に自動的に立て直し墜落を回避していたと報じています。

美军两名飞行员在驾驶F-16战机时昏迷,战机靠一技能成功自救

記事によると、2件の事故は2020年1月、7月にそれぞれネバダ試験飛行訓練場で発生しました。
それぞれのパイロットは高加速度(高G)のため操縦飛行中に短時間意識を失いました。この時、戦闘機は制御を失うことになり非常に危険な状況が直ちに発生することになります。それぞれのケースでは戦闘機の方向が地面を向いて落下状態にあり、地面にぶつかるまでは数秒ほどの猶予しなかったとのこと。

▼Auto-GCASが実際に動作した例。機密解除されたUSAF映像


自動地上衝突回避システムは、高過負荷の昏睡状態でパイロットを救助するための最後のシステムになります。システムは戦闘機の飛行を継続的にしており、戦闘機が明らかに異常な姿勢で墜落するような動作に入っていることを検出。警報を出しパイロットに対して操縦するよう警告します。それでもパイロットが応答しない場合、自動地上衝突回避システムはパイロットが意識を失った、もしくは正しい操縦ができないと判断し直接操縦に介入。直ちに姿勢を調整戻し、危険な状態から水平飛行に取り戻します。

実はこのAuto-GCAS、自動地上衝突回避システムはパイロットが意識がある状態でも作動させることができます。つまりパイロットが意識が飛んでいるのかどうかは関係なく動作するものになります。具体的にはパイロットが夜間飛行などで上下左右の空間認識ができなくなってしまうことが複数例確認されており、このような場合は手動でAuto-GCASを作動させ水平飛行に保つことができます。

記事によると、F-16であれば世界中の934機前後に搭載されているシステムになるとのことです。またF-35に2019年からAuto-GCASを搭載するようになりました。
これに関して2019年4月、日本で製造された機体が洋上に墜落しパイロットが死亡したケースについてはAuto-GCASは搭載していなかったといい、これが搭載されていれば事故は免れた可能性が高いと考えられます。

貴重なパイロットを守るこのシステムは航空宇宙大手ロッキード・マーティンのスカンクワークスが中心となりNASAやアメリカ空軍研究所が共同で開発したもので、2014年に初めて実戦で動作したことが確認されており、これまで複数のパイロットの命を救っています。
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