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自分が倒されないよう注意しながら動く対象に照準を合わせ敵を倒す…。そんなことが家庭向けゲームでも体験することができます。実は、このような動作が最新の医療機器を動かすスキルの育成に役立つとの見方があるそうです。

 アメリカで開発され、世界中に普及しはじめているという最先端治療、ロボット手術。医師の手では到底できないような細かい動きができ、さらに患者側の負担も少なくて済むというものになります。

 テキサス大学医学部の研究によると、ゲーマーが長時間ジョイスティック(操縦桿)を操ってゲームをすることで培われる優れた手と目の連係スキルは、世界最先端のロボット手術ツールを使いこなすのに必要な能力と同じであることが分かったといいます。

 研究はロボット手術で世界をリードするテキサス大学医学部(UTMB)の研修医らが、ロボット手術のシミュレーションテストで、米国の高校生および大学生と対決するという内容です。ここで針を通す、器具を持ち上げるなど手術に必要な20種類の動作について評価を行いました。

 結果は高校生や大学生はUTMBの研修医たちと同レベルであり、場合によっては上回るケースもあったといいます。テストに参加した高校生はTVゲームを1日平均2時間プレイしており、大学生の中には1日4時間という人もいたといいます。ただし、ロボットを使わない腹腔鏡手術(人体に数カ所穴を開け、筒状の手術器具で手術を行うもの)では当然ながらUTMBの医師チームの方が評価は高かったとのことです。


ジョイスティックを使用する一般的な家庭向けゲームの例

 今回どうしてこのような研究を行ったのか。研究論文の主執筆者であるサミ・キリク氏によると最近はロボット手術が普及している一方、ほとんどん医師は訓練を受けておらず、どのように技術を習得させるかが問題だったといいます。その時、キリク氏は自分の息子がロボット手術シミュレーターを簡単に使いこなすのを目撃して、この研究を思い立ったといいます。
 キリク氏は今回の研究を終え「学生たちは、ハイテクな世界に浸ることで、視覚空間経験や、手と目の連係を高めている。われわれはこの世代を訓練する方法を考え直すべきだと思われる」と述べています。

 また、日頃からジョイスティックを握り戦場を駆け巡るゲーマーのゲームのプレイ時間とロボット手術に関しては平均2時間の人たちと4時間の人の技術的な評価の差に違いはなかったとのことです。

参照元:WIRED.jp