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現在NASAが開発している新型ロケットSLS(Initial Lift Capability)のコアステージについて、基本設計審査会を通過したと発表がありました。
今回はNASAが目標としている今後の宇宙探査について簡単に紹介していきます。

スペースシャトルが全機引退し、人間を宇宙空間に上げることができるのはロシアのソユーズと中国のみ。NASAはこれまでの方針を変え、より遠くの天体(小惑星や火星)に人間を送ることを目標に宇宙船とこれまで過去最大の打ち上げ能力のあるロケットを開発しています。

今回NASAが発表したSLSのコアステージ、基本設計審査会通過。SLSとはSpace Launch System(宇宙打ち上げシステム)の略で、コアステージとはSLSロケットの第一段目になります。基本設計審査会は、ロケットの設計が当初の要求を達成できているか、またスケジュールや予算が妥当であるかを確認するための機関になるそうです。
2014年にはさらに詳細設計審査会で評価がされ、これを通過すれば実機の製造に入る事ができるという流れのようです。

SLS

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「そもそもSLSとは何か」という点なんですが、スペースシャトルの打ち上げロケットやサターンVロケットを元に設計された使い捨てのロケットになります。基本設計審査会通過したコアステージはスペースシャトル外部燃料タンクを拡張しエンジンを取り付けたもの。さらにその横についているブースターロケットも拡張したものが使用されています。

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SLSは複数の派生型が計画されており、最も大きいブロックIIは過去作られたどのロケットよりも大きい打ち上げ能力があります。

SLS今後の予定

SLSの初号機の打ち上げは2017年12月に予定されており、実際に無人のオリオン/MPCV(宇宙船)を打ち上げ月を周回させ地球に帰還させます。その後2019年8月に4名の乗員を乗せたオリオンMPCVを月周回軌道へ打ち上げ、2025年には火星と思われる有人探査(着陸なし)が行われます。

SLSのコスト

NASAは「シャトルの部品を組み合わせる事によって、低コストでかつ、シャトルの持つ信頼性を受け継いだ強力なロケット」としているんですが、非公式なNASAの文書では、2025年までの計画の経費は4基の70tロケット(2017年に無人で1機、2021年に有人で3機を開始)を発射するために総額で410億ドル(約3.3兆円)かかるとしています。 参考:sorar.jp