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ミドリムシと言えば最近食料になったり、バイオ燃料でつかうことができるということで注目を集めていますよね。産業技術総合研究所はこの微生物「ミドリムシ」から抽出した原料を元に「微細藻バイオプラスチック」の開発に成功しました。

「非食用の多糖類を利用したバイオプラスチックの研究開発」という研究テーマで産業技術総合研究所は、日本電気スマートエネルギー研究所や宮崎大学と共同で、微細藻類の一種であるミドリムシからの抽出成分を主原料とした「微細藻バイオプラスチック」の開発に成功しました。微細藻バイオプラスチックは従来のバイオプラスチックや石油樹脂などに劣らない耐熱性と熱可塑性があるとのことです。

産業技術総合研究所の発表によるとミドリムシが細胞内に大量に産生する多糖類「パラミロン」に、同じくミドリムシ由来の油脂成分(ワックスエステル)から得られる長鎖脂肪酸および、カシューナッツの殻由来の油脂成分「変性カルダノール」を付加して合成し開発したといいます。

微細藻バイオプラスチックの性能のとしては衝撃強度については改善の余地があるものの、熱可塑性つまり、常温で変形しにくく、加熱すると柔らかくなり冷やすと固まるという性能は、従来のバイオプラスチックや石油由来のABS樹脂と同等レベル。耐熱性、つまり加熱による変形のしにくさについては、これらのプラスチックよりも優れていることが分かりました。

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微細藻バイオプラスチック(赤)と他のプラスチック(青)との耐熱性の比較 

今後、産業技術総合研究所は細藻バイオプラスチックの物性と構造の詳細な関係を明らかにし、さらに高い耐熱性や強度などの優れた実用特性を目指し、分子設計を推し進めていく予定とのことです。またミドリムシの効率的な培養方法やパラミロンの抽出方法など、微細藻バイオプラスチック製造に不可欠な技術についても研究を行うとしています。

ミドリムシ

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ユーグレナ植物門ユーグレナ藻綱ユーグレナ目に属するミドリムシ。
動物的性質をもちながら、同時に植物として葉緑体を持ち光合成を行う生物。通常の微生物のようにグルコースをエネルギー源として増殖するほか、太陽光と二酸化炭素によるエネルギー源(光合成)で増殖することもできる。ミドリムシは淡水ではごく普通に見られる生物で、近年はミドリムシを用いたバイオ燃料の研究や医療技術の転用、環境改善、豊富な栄養素を持つことから食用としての研究が進んでいる。

カシューナッツ

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2011-2012年のカシューナッツの生産量は64,000トンで、前年は113,000トンの生産量があった。カシューナッツの取引価格は、現在、1キログラムあたり13メティカル(約36円)で、昨年の同時期の価格は1キログラムあたり19メティカル(約54円)だった。 カシューナッツの木には、生産量の最盛年とその後の減退年があり、モザンビークのカシューナッツの木は最盛年を終え今年減退期に入ったという。

参考: 産総研National Geographic