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六価クロム入の偽カプセルが去年話題になった中国ではなんと偽の薬品も多く製造されており海外に多く出まわっていることが明らかになりました。ウガンダやタンザニアなど貧しい国ではある種の病を治す薬の実に3分の1が偽物のようです。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは近年米国に出回っているニセの抗がん剤の多くが中国で製造されていると報じました。これは米政府機関が行った調査により分かったもので、昨年1年間で米国国内において摘発された抗がん剤・アバスチンのニセモノの多くは中国製で、トルコや英国を経由して米国に流れ込んでいるとしています。
また、英国医薬品庁(MHRA)も、欧州市場に深刻な被害をもたらしている前立腺がん治療薬・カソデックスのニセ薬はほとんどが中国製で、香港やシンガポール、ベルギーを経由して英国に持ち込まれていると指摘しています。偽薬にはダイエット薬やバイアグラなどの日用医薬品から痛み止め、抗うつ薬、抗生物質なども含まれていました。

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写真:広州で摘発された偽工場の製造現場

一方、中国政府側も国内の偽薬製造工場の摘発を行なっており、2012年に広東省広州市の警察当局が実施した一斉摘発では、2300万錠の各種ニセ薬を押収。そのなかには、乳がんなどの治療に使用されるタモキシフェンのニセ薬が含まれていました。

前立腺がん治療薬・カソデックスの製造元であるアストラゼネカのグローバル責任者・ウィルソン氏は「わが社は中国に4人の調査員を派遣し、ニセ薬の製造工場の捜索にあたらせている。収集した証拠は中国の警察当局に提出し、違法工場の摘発を促している」と述べています。
同氏はさらに「広州にはおびただしい数のニセ薬製造会社が存在する。そのなかには化学薬品の製造許可を有している企業もあり、それはつまり中国国家食品薬品監督管理局の検査や管理から逃れることを意味する」と述べ、当局の調査が入るのは無許可の製造工場だけで、国の認可を受けている工場では日夜偽薬が製造されているということのようです。

世界中に出回る中国製偽薬

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中国製偽薬で大変な被害を受けているのはアフリカ諸国です。インド消費税関税中央委員会はインドの大手日用品メーカー「ダブール・インディア」やタバコで有名な「ITC」などの偽物商品が中国で製造されていると述べています。また、アフリカでは中国の偽物業者が「インド製」と偽って販売した薬を飲んだ多くの患者が深刻な健康被害に遭っていると指摘してます。

ウガンダ国家薬物管理局の調査によると、マラリア治療薬の3分の1はニセ薬品、あるいは品質が基準に達していない薬品だったことが分かりました。これらは中国、そしてインドから輸入されている医薬品としています。
これ以外にエイズ治療薬から避妊薬まであらゆるニセ薬品が横行していることが分かっており、ニセ薬品の横行には政府、非政府組織(NGO)、製薬企業など多くの関係者の利害関係にあるため、実効的な対策が打ち出せていないのが現状だとしています。

参考:Record China