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2012年11月29日、3000年ほど外の世界から隔離されていたと考えられる南極の湖から複数の微生物からなる生態系が発見されました。

『Proceedings of the National Academy of Sciences』の発表によると、南極の氷の下約20mにある塩湖、ヴィーダ湖から微生物が見つかったということです。ヴィーダ湖は放射性炭素年代測定の結果から2,800年以上前から周囲と隔絶された状態になっていたと考えられています。

ヴィーダ湖の無光(ほとんどない状態)で無酸素、やや酸性の塩水、温度は摂氏マイナス13度という環境になっており、イリノイ大学のピーター・T・ドラン氏は「低温や高い塩分はそのどちらかだけでも極限的であるのに、そのふたつが重なっていて、そのうえ太陽エネルギーもそれ以外の新たに環境から供給されるエネルギー源もないというのは、生きていくのに非常に過酷な環境だ」と述べています。

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ヴィーダ湖の生物調査は氷床コアから塩水のサンプルを採取するという方法が採られました。このサンプルを分析したところ、高濃度の水素分子と、酸化・還元された化合物(および高濃度の有機炭素)がみつかりました。
イリノイ大学のファビアン・ケニッヒ氏は分析に対し「地球科学的分析の結果は、塩水とその下の堆積物との化学反応によって、亜酸化窒素と水素分子が生成されていることを示唆している」としたうえで、「この水素が、微生物の生存に必要なエネルギーの一部を供給している可能性がある」と述べています。

南極には同様の湖が400程あるとされ、これら湖は上部からの圧力と地底からの地熱により液体の水が保たれています。

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参考:WIRED.jp