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国際宇宙ステーションに新たなモジュールを追加することで有名になったビゲロー・エアロスペース社。宇宙で使用する膨張式モジュールを設計・製造している宇宙ベンチャー企業なんですが、一体どのような物になるのでしょうか。

アメリカ、ネバダ州 ノースラスベガスに本社を持つビゲロー・エアロスペース社は、ホテル王として知られるロバート・ビゲロー氏が宇宙にホテルを造る事を目指し設立したベンチャー企業です。同社は宇宙飛行士、宇宙旅行者に大きな空間を提供することができる膨張式のモジュールを開発しています。

膨張式のモジュールは元々アメリカ航空宇宙局 (NASA) の下でトランスハブ計画として提案・開発が行われていたもので、後に計画がキャンセルされました。その後、ビゲロー・エアロスペースはNASAと契約を結び、膨張式モジュールの重要な技術を商業化に向けて使用できるようになったという経緯があります。

ビゲロー・エアロスペース社はこれまで2006年と07年に重量1.36トン、全長4.4m、直径2.54m、内部居住体積11.5m3のジェネシスIとジェネシスIIの打ち上げに成功しています。このモジュールは同社が開発しているBA 330を3分の1サイズで、膨張には約10分を要しました。

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軌道上のジェネシスI

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ジェネシスI内部、ビゲロー・エアロスペースの職員らが入れた写真やカードが舞っている(2006年7月24日)

ジェネシスIは打ち上げ660日後の2008年5月8日に1万周目(4億3000万㎞)を達成。これは地球と月の間の1154往復分に相当する距離。この間、7つ全ての大陸を含む1万4000枚以上の写真を撮影しました。モジュールは起動以来、電子装置も正常に機能し続けたといわれています。

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膨張式モジュール『BA 330』 地上モックアップ

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BA 330の内部構造と創業者 兼 社長ロバート・ビゲロー氏

 『BA 330』 は重量22~23トン、宇宙では全長9.5m、直径6.7m、内部居住体積330m3をもつ膨張式モジュールで、トイレと衛生施設を含む環境制御生命維持システムにより乗員6名まで居住できます。同モジュールは無重力環境を用いた科学・工学研究での利用、月や火星への有人ミッションにおける宇宙ヨット、月面・火星面基地、将来的には宇宙旅行の目的地としての用途も考えられています。

BA 330の最初の打ち上げは2014年または2015年に予定されているものの、計画段階であり大幅に遅れることも考えられます。

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画像:BA 330を接続させた宇宙ステーション