アメリカ航空宇宙局(NASA)とヨーロッパの宇宙機関(ESA)は16日、次世代宇宙船「オリオン宇宙船」ことMPCVを打ち上げる新型ロケットSLSについて、ESAが開発に参加すると発表しました。
アメリカ航空宇宙局(NASA)とヨーロッパの宇宙機関(ESA)はアメリカ南部テキサス州のジョンソン宇宙センターで共同で記者会見をし、現在、NASAが開発を進めているオリオン宇宙船(MPCV)を長期間飛行するのに必要なロケット『Space Launch System(SLS=宇宙打ち上げシステム)』について、ESAが開発に参加すると発表しました。
今後の計画としては4年後の2017年に、月の周辺に向けて無人の試験機を打ち上げ、その後、月より遠い天体まで飛行できるよう技術の向上を目指すとしています。このことについて両者は「共同開発を始めることで今後の可能性が大きく広がる」と述べ、アメリカとヨーロッパの協力による火星の有人探査も視野に入れていることを明らかにしました。
SLSのコアステージはスペースシャトルで使用されていたオレンジ色の外部燃料タンクを拡張しエンジンを取り付けたものを、さらにその横についている固体ロケットブースターもスペースシャトルに使用されていたものを拡張したものが使用されています。
SLSは複数の派生型が計画されており、最も大きいブロックIIは過去作られたどのロケットよりも大きい打ち上げ能力があります。
共同発表以前の予定としては、SLSの初号機の打ち上げは2017年12月に予定されており、今回の発表もこの流れであることは間違いなさそうです。この時、実際に無人のオリオン/MPCVを打ち上げ月を周回させ地球に帰還させます。その後2019年8月に4名の乗員を乗せたオリオンMPCVを月周回軌道へ打ち上げ、2025年には火星と思われる有人探査を目標にしています。
オリオン宇宙船については幾つか面白い話が存在します。オリオン宇宙船は元々ブッシュ大統領時代、コステレーション計画(アレスシリーズ)で使用する宇宙船として開発されていた物のになります。しかし、オバマ大統領の方針変換によりコステレーション計画は凍結され、全てのロケットの開発は中止されました。しかし、オリオン宇宙船だけは生き残り『MPCV(多目的有人宇宙船)』にリネームされ現在に至ります。
NASAは「火星や小惑星帯にも行ける多目的有人宇宙船を開発した!」などと当時タイミングよく発表していたんですが、実際のところオリオン宇宙船と同じ物でNASAが使用していたTwitterアカウントも『Orion』から『MPCV』に変更しています。しかし、どうやら現在は再び『Orion』に変更されているようです。
画像:アレスIの変遷
コンステレーション計画におけるオリオン宇宙船は『アレスI』という固体ロケットとスペースシャトル主エンジンを簡素化した液体燃料のロケットエンジンで打ち上げるとしていました。が、重すぎ打ち上げできないことが後に判明。試行錯誤を行ったところ固体ロケットとサターンV時代のエンジンを設計し直すという無駄に時間と金をつぎ込むことになったものの、2009年10月28日試験機 Ares I-Xを打ち上げに成功します。その後コンステレーション計画が中止になり、結果として最初で最後の打ち上げとなりました。
アレスIについては、オリオン宇宙船の打ち上げは既に製造され打ち上げられている『デルタIVヘビー』を使えば可能なことが分かっており、さらにコスト面も抑えられ、制御できない固体ロケット使用しないことで安全性も2倍は高いなど、多方から様々な批判を受けていました。
今後の計画としては4年後の2017年に、月の周辺に向けて無人の試験機を打ち上げ、その後、月より遠い天体まで飛行できるよう技術の向上を目指すとしています。このことについて両者は「共同開発を始めることで今後の可能性が大きく広がる」と述べ、アメリカとヨーロッパの協力による火星の有人探査も視野に入れていることを明らかにしました。
SLS
SLSとはSpace Launch System(宇宙打ち上げシステム)の略で、スペースシャトルの打ち上げロケットやサターンVロケットを元に設計された使い捨てのロケットになります。SLSについてはロケット本体の第一段目であるコアステージについて2012年12月21日にアメリカの基本設計審査会通過しています。SLSのコアステージはスペースシャトルで使用されていたオレンジ色の外部燃料タンクを拡張しエンジンを取り付けたものを、さらにその横についている固体ロケットブースターもスペースシャトルに使用されていたものを拡張したものが使用されています。
SLSは複数の派生型が計画されており、最も大きいブロックIIは過去作られたどのロケットよりも大きい打ち上げ能力があります。
共同発表以前の予定としては、SLSの初号機の打ち上げは2017年12月に予定されており、今回の発表もこの流れであることは間違いなさそうです。この時、実際に無人のオリオン/MPCVを打ち上げ月を周回させ地球に帰還させます。その後2019年8月に4名の乗員を乗せたオリオンMPCVを月周回軌道へ打ち上げ、2025年には火星と思われる有人探査を目標にしています。
オリオン宇宙船(MPCV)
オリオン宇宙船については幾つか面白い話が存在します。オリオン宇宙船は元々ブッシュ大統領時代、コステレーション計画(アレスシリーズ)で使用する宇宙船として開発されていた物のになります。しかし、オバマ大統領の方針変換によりコステレーション計画は凍結され、全てのロケットの開発は中止されました。しかし、オリオン宇宙船だけは生き残り『MPCV(多目的有人宇宙船)』にリネームされ現在に至ります。
NASAは「火星や小惑星帯にも行ける多目的有人宇宙船を開発した!」などと当時タイミングよく発表していたんですが、実際のところオリオン宇宙船と同じ物でNASAが使用していたTwitterアカウントも『Orion』から『MPCV』に変更しています。しかし、どうやら現在は再び『Orion』に変更されているようです。
画像:アレスIの変遷
コンステレーション計画におけるオリオン宇宙船は『アレスI』という固体ロケットとスペースシャトル主エンジンを簡素化した液体燃料のロケットエンジンで打ち上げるとしていました。が、重すぎ打ち上げできないことが後に判明。試行錯誤を行ったところ固体ロケットとサターンV時代のエンジンを設計し直すという無駄に時間と金をつぎ込むことになったものの、2009年10月28日試験機 Ares I-Xを打ち上げに成功します。その後コンステレーション計画が中止になり、結果として最初で最後の打ち上げとなりました。
アレスIについては、オリオン宇宙船の打ち上げは既に製造され打ち上げられている『デルタIVヘビー』を使えば可能なことが分かっており、さらにコスト面も抑えられ、制御できない固体ロケット使用しないことで安全性も2倍は高いなど、多方から様々な批判を受けていました。