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1980年にイタリアで発生した旅客機墜落事故について、同国の裁判所は1月28日、ミサイルによって爆発した可能性が最も高いとの判断を下しました。今回はこの墜落事故である『イタビア航空870便墜落事故』について紹介していきます。

イタリア航空史上最大のミステリーの一つとされる「イタビア航空870便墜落事故」について、裁判所は、乗客の安全が保証されていなかったとして、政府は遺族に賠償金を支払うべきだとした上で、ミサイルが原因であることを示すものが「十分に」存在すると指摘しました。

映画の題材にもなったこの事故をめぐっては、同機が軍事訓練空域に入ったため戦闘機が敵の侵入だと判断して撃墜したなど、諸説が飛び交っていたものの最終的な原因の特定には至っていません。

イタビア航空870便墜落事故

イタビア航空870便墜落事故
1980年6月27日、イタリアのボローニャからパレルモに向っていたイタビア航空870便(DC-9-15)が午後9時ごろ、高度25000フィート(約7620メートル)を巡航中にティレニア海に墜落するという事故が発生しました。

墜落後行われた調査によると、パイロットから異常を知らせる通信がなかったことと、航空管制のレーダースクリーンに870便に向う未確認飛行物体が確認されたことから、なんらかの破壊活動があった事件であるとの各説が報道されていました。

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写真:1972年に撮影された事故機

具体的には870便の機内に仕掛けられた時限爆弾が炸裂したために墜落した「テロ説」、レーダーで確認されていた未確認飛行物体が870便に衝突したため墜落したということから、未確認飛行物体の正体は「空対空ミサイル」であるとする説がありました。

空対空ミサイルを発射した当事者については、イタリア空軍機誤射説もしくはNATO空軍機誤射説があり、イタリア空軍機が空対空ミサイルを発射した理由としては、同時刻に隣接空域に領空侵犯したリビア軍所属のミグ23戦闘機に対して発射したものの、ミサイル自身が870便を領空侵犯機と誤認して撃墜したというものです。

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写真:ボローニャ博物館に展示されている事故機。全体の65%及びフライトレコーダーが回収された

その後、誤射が行われたとしてイタリア空軍の幹部が起訴されたたものの、1997年になって事故調査委員会は「原因不明の機内の爆発があった」と断定、2007年には同空軍の無罪が確定しています。

また、この航空事故では事故調査中には文書が消失、ボイスレコーダーのデータは消去されたか、改ざんされたとされており、現在も真相は明らかになっておりません。

参考:Exciteニュース