2013年1月19日、1月30日に何れも公海上で行われた中国人民解放軍海軍所属のフリゲート艦から日本海上自衛隊のヘリ及び艦艇対する射撃管制レーダー照射事案について、2013年2月5日からの動きをまとめてみました。
2013年2月5日
参考:ジャンウェイ2級フリゲート
2013年2月6日
2013年2月7日
- 同日17時41分頃、ニュース速報として「中国艦船が海上自衛隊護衛艦に数日前射撃管制レーダーを照射した」と報じる。
- 17時50分頃、NHKのNEWSwebにて「中国艦船が海自護衛艦にレーダー照射」という記事。
- 19時頃、小野寺防衛大臣は防衛省で緊急会見を開き、1月30日午前10時頃、東シナ海(詳しい場所は明らかにせず)において3km先の中国人民解放軍海軍(以下中国海軍)ジャンウェイ2級フリゲート艦から海上自衛隊の護衛艦「ゆうだち」に対し、射撃管制用のレーダーを照射。また、1月19日午後5時頃にも東シナ海(詳しい場所は明らかにせず)で中国海軍のジャンカイ1級フリゲート艦から、護衛艦『おおなみ』に搭載されているヘリコプターに、射撃管制用のレーダーの照射が疑われる事案があったと述べる。発表まで時間がかかったことについては「慎重に対応する必要があり、データを持ち帰って東京で検証した。慎重にも慎重を期して分析したため、時間がかかった」と述べる。
- この日、外務省が行った中国側への抗議について中国からは「事実を確認する」と反応があった。
- アメリカ国務省のヌーランド報道官は「日本と中国の間の緊張を高め、不測の事態を招きかねないものだ」と述べ、「尖閣諸島に関するアメリカ政府の姿勢は変わっていない」と改めて示す。
参考:ジャンウェイ2級フリゲート
2013年2月6日
- この日行われた中国外務省の定例記者会見で華春瑩報道官は「自分も報道を見たが、具体的には分からない。中国の関係部門に聞いてほしい」と述べ、「日本側が抗議するまで事実関係を知らなかったという意味なのか」という質問については「そう理解してもらっていい。われわれも報道を通して、初めて関連の情報を知った」と繰り返した 。
- 日本政府関係者に行った取材によると、中国海軍のフリゲート艦の射撃レーダー照射は2件の事案何れも尖閣諸島から北におよそ100kmの公海上だったと明かした。
- 19時45分、朝日新聞デジタルは自衛隊への射撃用レーダー照射は野田政権が昨年9月に尖閣諸島(沖縄県石垣市)を国有化する前にもあったことが政府関係者の取材で分かったと報じる。今回政府が公開した理由について政府高官の話として「日本政府は日中関係を悪化させる懸念がある」とした上で、今回は立て続けにレーダー照射されたため、安倍政権が事態を重く見て公表に踏み切ったとしている。この記事は同日22時前に削除された。
1970年に江蘇省淮安市淮陰縣(現在の淮陰区)の共産党幹部の家庭に生まれる。父親は、淮陰縣規律検査委員会書記、母親は淮安市清河区政治協商会議副主席であった。1988年に淮陰縣で最優秀の成績を収め南京大学に入学。1999年、外交部西欧局で三等秘書官、副部長を歴任。 2003年、中国駐欧州連合使団で二等秘書官、一等秘書官、参事官を歴任。 2010年、外交部欧洲局参事官に就任。 2012年、外交部報道局副局長。同年11月、外交部報道官に就任。Wikipedia
2013年2月7日
- 朝、中国国営テレビは「中国艦船のレーダーが日本艦船をロックオンしたことを日本が誇張」と特集を放送。
- 朝、中国共産党系の新聞「環球時報」は、「『中国に威嚇された』と日本が大げさにしている」と見出し。
- 安倍晋三首相は同日午後に行われた衆院予算委員会で民主党原口一博氏から「何故公表が遅れたのか」と質問に対し、1月19日のヘリコプターに対する射撃レーダー照射は中国海軍によるものだと断定できなかったことで「事務方がより(確認に)慎重になり、私のところに(情報が)上がってくるのが遅くなった」と述べ、報告の遅れを認めた。また小野寺五典防衛相は報告を受けたのが6日後の2月5日(緊急会見を開いた日)だったと述べた。
- 衆院予算委員会の答弁により分かったことは1月19日のレーダー照射が行われた午後5時、発生直後防衛省が安倍総理に報告。30日に行われたレーダー照射については防衛省が小野寺防衛相に報告したのは2月5日。5日夕方に首相に報告し外務省が中国側に抗議。その後小野寺防衛相は国民に公表(緊急記者会見)という流れ。
- 中国国営放送の番組内で「射撃レーダー照射はこれまでもあった」「日本が騒ぎすぎだ」と解説者と思われる男性が述べる。
- 中国外務省の定例記者会見で華春瑩報道官は「関連部門が(レーダーの)報道について真剣に調査を行っている」とした上で、「日本側が不法な活動をしている」、「中国のイメージを下げようとしている」と主張する。
- 夜、フェニックス・テレビ電子版によると、中国国防省報道事務局当局者の発言として火器管制レーダーを照射したとの日本政府の発表について「事実と違う」と否定した。また当局者は「中日の海・空の安全問題の根源は、日本の戦闘機が近距離で中国の船舶を追跡・監視することにある」と述べ、日本の戦闘機の中国監視船などへの接近が安全を脅かしていると主張した。
- 野田前総理大臣は中国海軍艦船によるレーダー照射が民主党政権時代にもあったが公表を避けたという日本経済新聞などの報道について「そのような事案の報告を受けた事実はなく、防衛省もそのような事実はなかったことを認めている。記事は事実無根であり、極めて遺憾だ」と述べた。
- 日米両政府はワシントン市内で外務・防衛担当の審議官級協議を開き、射撃用レーダーを照射した問題などを巡って意見交換した。
- 米、カーニー大統領報道官は同日の記者会見「一般的にこの種の紛争の平和的な解決の必要性を主張してきた。米国は太平洋国家として重要な役割を担っているので、深く関与していく」と指摘。
- 7日夕方、中国政府側が在中国の日本大使館に対し、「軍の見解としてレーダー照射の事実はない」「日本側が対外公表した内容は事実に合致しない」と伝える。
- 午前、中国国防省は「使用したのは通常の警戒用(監視用)管制レーダーであって(射撃するための)火器管制レーダーではない」と日本政府が発表した事実関係を否定する談話を発表。「最近、日本側が事実を歪曲させた話をまき散らすことを続けている。中国側に事実関係を確認せずに一方的に虚偽を公表した」と批判した。
- 河相周夫外務事務次官は午後、中国の程永華駐日大使を外務省に呼び厳重抗議した。2月9日午前9時の情報によると、会談は8日午後5時前からおよそ30分間行われ、駐日大使は「日本側の指摘は事実に反する」「火器管制レーダーとは違う種類のレーダーが照射された」などと説明した。また日中間の海上連絡メカニズムの運用をできるだけ早く始められるよう目指すことでは合意したとのこと。
- 中国外務省の定例記者会見で華春瑩報道官は「中国の関係部門がすでに事の真相を公表している。日本側の言い分は完全なねつ造だ」と反論した。また「中国側は対話と協議を通じて両国が直面する問題を解決しようと努力してきたが、日本は過ちを正すどころか、多くの船や航空機を出動させ、中国の主権を損なう行動をますますエスカレートさせている」とし、「日本がこのようなことをするのはいったい何のためなのか問わずにはいられない。われわれも強い警戒を続けざるをえない」と主張した。
- 安倍晋三首相は8日夜、BSフジの番組内で「中国は(事実関係を)認め、謝罪して、再発防止に努めてほしい」と発言した。また、中国政府が日本の発表を「完全な捏造」と主張したことに対し、首相は「全く認めるわけにはいかない」と批判。その根拠について「レーダーがこちらを向いているかも含め、目視でも写真などでも確認している。慎重に分析した結果、間違いない」と強調した。
- 小野寺五典防衛相は午前、読売テレビの番組で、日本側の証拠開示について、「安全保障上の機密にも関わる。どこまで表に出していいか政府部内で今検討している」と述べた。
- 9日付の中国共産党機関紙・人民日報などの主要中国紙は、同レーダーの使用を否定する中国外務省や国防省の公式見解を掲載したものの、同問題に関する論評は載せなかった。
- 小野寺五典防衛相が証拠の一部を公開する考えを示したことについて、中国政府は9日夕の時点で反応を示していない。
- 午前6時59分頃から同7時22分頃にかけ、沖縄県石垣市の尖閣諸島・久場島沖の接続水域(領海の外側約22キロ)に中国海洋監視船「海監」4隻が相次いで入った。中国公船が同水域内を航行するのは、今月5日、射撃管制レーダー照射事案後初めてとなった。
- 中国、国営中央テレビは昼のニュースで、尖閣周辺を航行する「海監50」から活動の状況を実況中継する。
- 小野寺五典防衛相はフジテレビの番組で火器管制レーダー照射の証拠開示について「中国が(照射を)認めることは多分ない。認めないなら(開示が)日本の国益にとってプラスになるとは思えない」と述べる。
- 証拠データ開示を示唆したことについて中国政府は10日までに公式な見解を発表していない。
- 11管区海上保安本部(那覇市)によると10日、射撃管制レーダー照射後初めて尖閣諸島沖の接続水域(領海の外側約22キロ)に入った中国の海洋監視船4隻は同水域への出入りを繰り返し、3隻が11日午前7時4分頃までに水域外に出た。
- 米国務省のヌランド報道官は11日の記者会見で、中国海軍艦船が射撃管制用レーダーを照射した問題で、米国は「実際に(照射が)あったようだと確信している」と述べ、日本政府の発表を支持する姿勢を示す。
- 自民党の石破茂幹事長は12日午前の記者会見で「中国が何と言おうと、動かない証拠を海外に示すのは極めて大事だ」と指摘。 また、『手の内を明かすことになる』ということについて「常(じよう)套(とう)句、ジョーカーのように使うべきでない」と述べ、一定程度の開示が必要との認識を示した。
- 河野克俊海上幕僚長は12日の記者会見で、中国海軍の火器管制レーダーを照射事案について「不測の事態を招きかねない、極めて危険かつ遺憾な事案と受け止めている」と述べる。以前にもレーダー照射があったかどうかについては「こちらの情報収集能力を示すことになる」として回答を避ける。中国が主張する中国海軍への不法活動について「わが方に不適切な行動があったということはない」と中国側の一方的な挑発であると主張した。
- 日本政府は15日、自衛隊が収集した証拠の開示を見送る方針を固めた。これは日本の主張が国際社会で一定の理解を得られたということもあり、電波の周波数などを公表すれば、「日本の情報収集能力を明かすことになる」(防衛省幹部の発言)からと考えられる。
2013年2月18日
- 人民日報海外版の記事で羅援・常務副会長(人民解放軍少将)は自衛隊艦船などが中国軍艦艇に警告を無視して接近する場合、「射撃管制用レーダーを照射し、(日本側が)危険な行動に出るなら断固自衛する」 と警告した。また、日中双方の艦船は3km離れていたとし「3キロの距離なら(射撃用)レーダーを使う必要がない」など日本側の主張を改めて否定。「米国人もこのでたらめを信じるなら物笑いになる」と主張した。
2013年3月17日
- 中国軍の将官級など複数の高級幹部は17日までに共同通信の取材に対し、攻撃用の射撃管制レーダーを照射したことを認めた。その上で「艦長の緊急判断だった」と述べ、計画的な作戦との見方を否定、偶発的な事案と強調した。
2013年3月18日
- 中国国防省は射撃管制レーダーを照射したことを中国軍の複数の高級幹部が認めたとする共同通信の報道に対し、「射撃管制レーダーを照射したという日本の説明は事実に反する」と否定した。「使用したのは監視用レーダー」と繰り返し、「日本はたびたび取り上げ、中国の軍隊のイメージをおとしめ、国際社会を誤った方向に導いている」と主張した。