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急いで目的地に行こうとするとき、走ってしばらく早歩きで、また走って・・・と繰り返したことはないでしょうか。この謎の移動方法についてアメリカの大学で研究が行われました。

時間通りに電車やバスが来る日本では時間までにその場所に行かないと置いて行かれるということになりますよね。そんなことで、みなさんも通勤・通学中にある行為を行ったことはないでしょうか。それは駆け足をしたり歩いたりと繰り返す移動方法です。

アメリカ、オハイオ州立大学の機械工学者マノジュ・スリニバサン氏は、「人は目的地に向かうとき、無意識に歩行と走行を組み合わせている」という仮説について検証しました。
スリニバサン氏は36人の被験者に、フットボール場の長辺よりやや長い120メートルの距離を進むよう依頼。ゴールまでの時間制限を設定し、ストップウォッチを渡した。すると、時間に余裕がない人は走り、2分と余裕のある人は歩いたといいます。そしてこの中間の人は、歩行と走行を切り替えながら進んだといいます。

「歩行と走行の組み合わせは、中程度の時間がある場合に適している。すぐに到着する必要はないが、時間が無限にあるわけでもない。この時間帯を“トワイライトゾーン”と名付けた」と同氏は説明しています。ではなぜ、人間はトワイライトゾーン時に歩行と走行を繰り返すのか?

スリニバサン氏はこの歩行モードの切り替え能力について、「基本的には進化論上のテーマになる」としています。それは「先史時代の人類は食料を探すとき、エネルギーを温存しながら移動する必要があった」とし、「獲物がなかなか見つからず疲れた場合でも、捕食動物から逃げられるように体力を温存する移動方法だ」としています。

The 33rd Dublin City Marathon - October 29th 2012

これに当てはまるのが市民ランナーによるマラソンです。「走るのを止めて少し歩き、またジョギングのペースを再開することで全体的なエネルギーを節約し、休みを取ることもできる」と主張しています。

とはいえ、調節の詳しいメカニズムについては解明されておらず、スリニバサン氏は今回の実験結果から「人は移動しながら、目的地までの距離に対する自分の感覚に基づいて、歩行と走行をうまく調節している。あらかじめ(歩くか走るか)決めておくのではない」と語っています。

参考:National Geographic