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アメリカの非営利団体、インスピレーション・マーズ財団が人類の火星接近飛行(火星旅行)を計画を発表したのを機に、火星が注目されてつつあります。今回はこれまで構想された火星へ人類を送る計画はどのようなものだったのか紹介していきます。

これまで人類が地球以外の天体を訪れたのは月だけです。これは有名なアポロ計画で成し遂げたものなんですが、それでもアポロ計画終了後(1972年以降)は月軌道へ人が送り込まれたことはなく、何れも地球周辺での活動に留まっています。

そして最近、アメリカの非営利団体が火星への飛行を発表し、再び注目を集めつつある深宇宙へ人類を送る計画。過去、火星へ人類を送る計画は構想がいくつもあったんですが、今回はその一部を紹介していきます。

1962年 エンパイア計画
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NASAと外部の提携機関が一連の研究の末に打ち出した火星へのフライバイ・ミッションです。往還には約500日かかると見込まれていました。後にこの計画は拡大され、「ノバ」(Nova)と名付けられた巨大ロケットを使って全長137メートルの宇宙船5機を軌道上に打ち上げ、15人の乗組員を火星に運ぶ構想になりました。

1966年 JAG有人フライバイ計画
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4人の宇宙飛行士による有人ミッションで火星フライバイを行うNASAの計画で、1976年に原子力ロケットによる打ち上げが予定されていました。フライバイの際には自動化された探査機を火星地表に下ろし、土壌サンプルの回収後に上空の有人宇宙船まで戻ってこさせる計画で、往還には667日が予定されていました。しかし、ベトナム戦争の費用の増大でこの計画は頓挫。着陸船(ランダー)に自動で調査を行わせるという構想は、無人ミッションであるバイキング計画に引き継がれ、バイキング2号は1976年に火星へのタッチダウンを成功させました。

1989年 月・火星有人探査構想(SEI)
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宇宙ステーションの完成、月面への探査拠点の設置、2010年をめどに火星探査を実施、などの枠組が定められました。しかしその費用は5000億ドル超と試算されたことを機に構想は自然消滅しました。

2004年 ブッシュビジョン(コンステレーション計画)



アポロ計画とスペースシャトル計画の中で開発された技術を元に、新たな有人宇宙船とブースターロケットを開発し、2015年にも大重量物打ち上げロケット(HLLV)を用いて有人月ミッションを再開するなどの目標が含まれていました。月ミッションを通じて新技術やアプローチを実験した後、2030年をめどに有人火星ミッションを行う計画でした。しかし、費用の関係でほとんどのプログラムは撤回。 後にオバマ大統領が新たな計画で火星を目指すと述べ、現在新型ロケットなどが発表されています。

2012年 レッド・ドラゴン
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イーロン・マスク(Elon Musk)氏がCEOを務めるスペースX社の計画。同年に国際宇宙ステーション(ISS)とのドッキングを成功させた「ドラゴン」宇宙船を2018年にも火星に着地させるというもの。これを足がかりに、将来的には人類の火星着陸も視野に入れています。

2013年 インスピレーション・マーズ
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世界初の宇宙旅行者として知られるデニス・チトー氏(インスピレーション・マーズ財団)の提唱によるもの。2018年に火星と地球が大接近するタイミングを捉えて有人火星ミッションを計画しています。

参考:National Geographic