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火星に初めて着陸しごく短時間通信を行なって以来消息不明だった旧ソ連の火星探査機を、NASAが所有する火星探査機が撮影した写真から発見し話題になっています。

NASAの火星探査機「マーズ・リコナサンス・オービター(MRO)」が撮影した画像を解析し、自国の探査機を発見したのはロシアの一般市民からなる宇宙ファンです。彼らが探しだしたのは今から40年前、1972年12月2日に火星に軟着陸を果たした旧ソ連の無人火星探査機マルス3号(Mars 3)です。

推定着陸地点周辺をMROが2007年11月に撮影した、実に1.8億ピクセルにおよぶ画像データを手分けして捜索し、2012年の年末にマルス3号と思われる残骸を発見しました。報告を受けたMROの高解像度カメラ(HiRISE)運用チームは追加観測の提案を受け2013年3月10日にカラー撮影を実施し、4月に公開されました。

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この時撮影された高解像度写真には直径7.5メートルの白い円(パラシュートと考えられている)と逆推進ロケット、着陸機本体、大気圏突入時の防熱シールドらしき物体が映し出されており、この姿はマルス3号の開発に携わったロシアの技術者や科学者たちの証言とも一致しているといいます。

マルス3号

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マルス3号

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マルス3号に搭載された着陸機

マルス3号は1960年~73年に行われたソビエト連邦のマルス計画の無人の探査機です。マルス3号は探査機と着陸機から構成される探査機で、3号は2号の打上げから9日後、1971年5月28日に打上げられました。

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マルス3号の着陸機が送ってきた火星表面の画像

着陸機は1971年12月2日9時14分に探査機から放出され約5.7km/sの速度で火星の大気圏に突入しました。空力ブレーキ、パラシュート、逆推進ロケットによって着陸機は南緯45°西経158°の地点に軟着陸し、運用を開始。しかし着陸から14.5秒後に伝送が停止し、これ以来着陸機から信号が送られてくることはありませんでした。

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マルス3号の着陸機には4.5kgの小さなマーズ・ローバーが搭載されていました。ローバーは着陸機から15mの有線ケーブルで繋がれた範囲をスキーで移動し探査を行う予定だったものの、展開されることはありませんでした。

参考:sorae.jp,Wikipedia