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土星探査機カッシーニがこれまで行った衛星タイタンの観測によると、“雨”が少ないにも関わらず湖の大きさがあまり変化しないことから蒸発しにくいエタンが溜まっている可能性が明らかになりました。

土星最大の衛星タイタン。直径は約5150kmと惑星の水星よりも大きいという巨大な天体なんですが、この衛星には地球とタイタン以外には見られない特徴があります。それは液体が循環している点です。地球は水、タイタンは液体の炭化水素が地表に降り注ぎ、地表を侵食し川や海のような湖が確認されています。

これまでの観測で液体の循環はエタンやメタンといった炭化水素であることが分かっていたんですが、地表に多数見られる液体の炭化水素の湖について、流れこむ液体の量が少なくても湖の大きさがさほど変わらないということが数年の観測により分かりました。これにより、湖に溜まっている液体の主体は液体メタンよりも蒸発しにくいエタンである可能性がでてきたそうです。

タイタンを流れる400kmの河川

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まるで地球の地形を見ているかのような画像は、衛星タイタンの北極圏を撮影したものです。2012年9月、カッシーニがレーダー観測でタイタンにある400kmの川を発見しました。これは地球以外の天体で発見された初めての大規模河川になります。

タイタンに存在するという河川が流れ込む海、湖についてこれまで考えられていたメタンの循環モデルでは何れも赤道付近には海は存在しないといわれていました。しかし、観測されたデータでは赤道付近にユタ州のグレートソルト湖に匹敵する面積約2400平方キロの湖が存在するなど、タイタンのほぼ全域で液体の循環が行われていることが分かっています。

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画像:地球とタイタンのサイズ比較

参考:AstroArts