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オリオン座を構成する一つで赤く輝くベテルギウスに高温のガスと思われる2つの点が出現している様子がギリスの国立研究機関により観測されました。

英国マンチェスター大学の研究者らは、同国の7つの電波望遠鏡「e-MERLIN」を使用した観測により、オリオン座ベテルギウスの外気圏に高温のガスの点が2つあることを発見しました。これは2012年7月に行われた観測を解析したもので研究者によると発見された2つの点の温度は4,000~5,000ケルビンで、星の表面の最高温度(3600ケルビン)よりも高温だったとしています。

高温の斑点が現れた理由について、研究者らは4つの仮説を挙げているも今のところ理由は確定されていないといいます。

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e-MERLIN
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イギリスが運営しているe-MERLIN/VLBI国立施設。光ファイバー網で接続された7つの電波望遠鏡から構成されています。

ベテルギウスと超新星爆発

ベテルギウス

ベテルギウス

地球から640光年離れたところに輝くベテルギウスは太陽と同じ『恒星』で、地球から見て9番目に明るい恒星になります。ベテルギウスの直径は一定ではなく、6年弱の周期で太陽直径の700~1000倍まで変動します。もっとも大きい時の直径は140,000万km(太陽の直径は140万km)で太陽をベテルギウスと置き換えると、地球の軌道をはるかに超え木星軌道の一歩手前程度の大きさになります。

ベテルギウスは赤く巨大な「赤色巨星」で、ここ15年で15%サイズが縮小するなど不安定な動きが観測されています。そのため、近い将来に超新星爆発を起こす天体として注目されています。
仮に超新星爆発した場合について、オーストラリアの南クィーンズ大学の物理学者ブラッド・カーター博士は「超新星爆発が起きたら、少なくとも2週間は2つの太陽が見られることになりその間、夜はなくなるだろう」と述べています。

実際のところどのように観測されるのかは不明で、他の学者は「もしベテルギウスが爆発すれば満月程の明るさで輝く星が100日程観測できる」とも述べています。

参考:e-MERLIN,The Voice of Russia