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太陽系外惑星を次々と発見し多大な成果を上げてきたケプラー宇宙望遠鏡が姿勢を制御する装置が破損し運用できない状態が続いているとのことです。

第2の地球を探すプロジェクトとして最も有力な探査機とされていたケプラー宇宙望遠鏡に重大な故障が発生しました。NASAによると、方向制御に必要なリアクションホイールに不具合が発生し、現在太陽光パネルが太陽と反対の方向を向く「セーフモード」に入ったとのことです。

リアクションホイールとはモーターで回転する円盤のことで、円盤の回転が発生させる逆方向の力を利用し探査機の精密な制御を行うものです。ケプラーには4つのリアクションホイールが搭載されていたものの、1つは2012年7月に停止。2013年1月には新たに1つの不具合が見つかり、観測を停止していました。

ケプラー宇宙望遠鏡
写真:ケプラー宇宙望遠鏡

ケプラーとは断続的にしか通信が行えない状態でNASAとしては動かない部品の復旧が可能かどうか、または別の手段で制御できるかどうかを見極めている段階だといいます。NASA、グランスフェルド副長官は「まだ終わったとは言わない」する一方で、ケプラーは地球から6000万キロ以上離れた距離にありハッブル宇宙望遠鏡のように「助けに行くことのできない場所にある」と述べました。

ケプラー宇宙望遠鏡は2009年3月6日にアメリカから打ち上げられ、3年半の主要ミッションを終えて2012年11月から延長観測ミッションに入っていました。ケプラーの観測からは系外惑星らしきデータが2,740件見つかっており、このうち132個は実在の惑星であることが確認されています。ケプラーから送られ解析されていないデータが多く、今後2年間程は研究が続けられるとNASAは話しています。

ケプラー宇宙望遠鏡

ケプラー宇宙望遠鏡の重量は約1トン、宇宙望遠鏡としては最大の1.4メートルの主鏡を備え、9500万画素の冷却CCDを使い観測を行なっています。一度に撮影できる星の数は10万個と言われ、そのうち恒星の前を惑星が通過したことによる“食”を観測し次々と地球型惑星を発見しています。

2011年11月には同望遠鏡を使用し地球の0.87倍(Kepler-20e)と1.03倍(Kepler-20f)の太陽系外惑星を発見しています。



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金星と地球とKepler-20e(左)、Kepler-20f(右)のサイズを比較した想像図。

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ケプラー宇宙望遠鏡の観測方角

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ケプラー宇宙望遠鏡が観測可能な範囲。地球からみてはくちょう座の翼付近で、地上からは人間の拳程度の広さになります。

参考:sorae.jp