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イタリアのサルデーニャ島の沖で回収が行われたのは欧州宇宙機関(ESA)が研究を進めている大気圏再突入実験機『IXV』です。今回はこのIXVについて紹介していきます。

2013年6月19日、ヘリコプターにより高度3000メートル上空から投下、着水試験が行われたのはESAが開発を進めているIXVです。IXVは大気圏再突入実験機で機体は再使用型宇宙往還機になります。

イタリアのサルデーニャ島沖で行われた試験ではフルスケールのプロトタイプIXVが使用され、実際の大気圏再突入後の滑空、パラシュート展開、着水、回収の一連の評価が行われました。ESAでは来年、ESAの新型の小型ロケット「ヴェガ」を使用し、IXVの実験機を使った弾道飛行試験を実施する予定です。

以下は19日に撮影された写真
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目標は人工衛星の回収?

今回紹介したIXVはIntermediate eXperimental Vehicleの略で「Intermediate」は、実験機で実証する技術要素が再使用型宇宙往還機の実現に至るロードマップの中間段階にあることを意味しているそうです。



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画像:2014年に計画さる打ち上げミッションと飛行概要

当初2012年にIXVの打ち上げを計画していたものの、「打ち上げは来年に計画している」とのことで2年程度開発が遅れているということになります。実際に行われる打ち上げ試験はギアナ宇宙センターからヴェガロケットにより打ち上げられ、高度450kmに達した後、地球を半周するという弾道軌道で南アメリカ大陸に近い太平洋に着水します。

ESAは独自の有人宇宙船の開発も視野に入れており、IXVで得た研究か再使用型宇宙往還機、所謂スペースシャトルや民間宇宙関連企業が開発を進めている宇宙船を作るとしています。

IXV
写真:IXV

IXVの研究成果はどのような使われ方をするのか。ESAは2012年11月に開かれた閣僚級理事会において、IXVを発展させた再使用型宇宙往還機『ISV(Innovative Space Vehicle)』の開発予算を承認しています。ISVは小型の貨物室を持った有翼の無人機で、人工衛星を軌道から回収して大気圏に再突入し、滑走路へ水平着陸する能力を持つというものです。

ISVの概念は要するに故障した衛星などの回収、つまり宇宙ゴミや将来的にISSの回収を視野に入れている?ということにもなるんですが、これまで構想されている故障した衛星の再利用や宇宙ゴミを捕獲し大気圏で焼却処分するというものとは異なる回収方法ということになるのでしょうか。

IXVレイアウト
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参考:ESA,Technobahn