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人類が発明した中で最も威力がある兵器と言えば水素爆弾を含む核兵器ですが、ロシアのとある科学者はこの核兵器を使用すれば宇宙からの脅威にも対応できるとしています。

「大陸間弾道ミサイルを使えば直径100m程度の隕石ならば粉微塵に吹き飛ばすことができる」と主張しているのはロシアのチェリャビンスク、ミアス市の国家ロケットデザインセンター上級研究員です。研究員によると、地球への脅威となる隕石・小惑星を破壊するためにはソ連時代に開発されたSS-18(R-36M)「サタン」という大陸間弾道ミサイルが有効だとしています。

研究者によると、核兵器の打ち上げについてソユーズやアンガラロケットは使用できないとし、理由として低温の液体燃料を長時間保つことが難しい点をあげています。その上で、現在の観測技術ではより小さい隕石は衝突の数日から数時間前程度前にしか発見できず、一般的なロケットでは製造や設置に時間がかかり過ぎるため、何れにしても間に合わないと主張しています。

SS-18(改良型衛星打ち上げロケット ドニエプル)の発射


一方、大陸間弾道ミサイル「SS-18」であれば常温で保存可能で即応性がある非対称ジメチルヒドラジンを燃料にしているので、発見からわずか10分~20分で宇宙空間に核兵器を送り込むことが可能としています。

ただし、実際のところは他国に連絡をとる必要があるのと、隕石の軌道を計算するための時間が必要で打ち上げには最低でも2時間が必要だそうです。その上で、地球への衝突まで5~6時間前までには破壊できるようする必要があると述べています。

写真:SS-18
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SS-18は全長36.3m、重量211トンの重大陸間弾道ミサイル。弾頭には最大約20メガトンの核兵器を搭載。核出力は広島型原爆の約1,333倍。

ロシアと宇宙からの脅威

ロシアはこれまでも宇宙から脅威として隕石を取り上げ、これを破壊するための対策を複数とっています。

2009年12月にはロシア宇宙庁のアナトーリ・ペルミノフ長官が2036年に地球近くを通過する隕石、アポフィス(直径350m程度)に対し、軌道をそらす目的に特化した装置(核兵器を使用しない装置)の開発を挙げ、欧州、米国、中国などの宇宙研究専門家も参加する国際プロジェクトになるだろうと発言しています。
また国営ラジオでは「衝突回避システムの構築に多額の費用がかかるとしても、衝突が起きるまで何もせずに大勢の死者を出すよりはずっとましだ」と長官が発言しており、「2036年のアポフィス地球衝突を防ぐ手段を協議するため、専門の科学者を集めた委員会を非公開で行う」と発表しています。

また2011年10月にはロシア外務省筋の情報として駐NATO大使であるドミトリー・ロゴージン氏(ロシア)が新しい防衛システムとして戦略的地球防衛を構築する必要性がる述べています。ロシアがアメリカに対し両国のミサイル防衛システム連結を提案しており、結果的に地球への飛来物を粉砕するほどの破壊力を持つ必要性を主張しています。また、ロシア側は新しい防衛システムについてアメリカ、ロシアでもない国連での運用が望ましいとしています。

参考:РИА Новости