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今から105年前、1908年にロシア・ツングースカ川上空で発生した大規模爆発はご存知でしょうか。長年謎とされてきたツングースカ大爆発についてウクライナ、ドイツ、米国の科学者がある重要な手がかりを発見しました。

ウクライナ、ドイツ、米国の科学者のグループが行った調査によると、ツングースカ大爆発が起きた年の夏のものである泥炭(植物が部分的に腐敗したもの)の層から微小な断片を収集したところ、隕石の衝突で生成される特殊な鉱物を発見したと発表しました。

この鉱物は六方晶ダイヤモンド(ロンズデーライト)、ダイヤモンド、石墨の混合物で構成されていました。ロンズデーライトは地球上ではほとんど存在していない鉱物で隕石が地球に衝突したときにのみ生成されることが分かっています。またロンズデーライトの結晶には鉄の硫化鉱物『トロイリ鉱(トロイライト)』、鉄ニッケルの合金『テーナイト』といった鉱物が見つかっており、いずれも隕石などの宇宙物質に含まれる典型的な鉱物と知られています。

以上のことを踏まえ、ツングースカ大爆発は彗星やブラックホールなどではなく、隕石が空中で爆発したことにより発生した出来事だったと結論づけました。

ツングースカ大爆発


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ツングースカ大爆発についてはこれまでもいくつか説があげられてきました。非常に巨大な爆発だったことから彗星・小惑星説、地表に吹き出したガスが爆発したことにより発生したガス噴出説、その他、飛来した隕石に異星人が自己犠牲の精神で宇宙船ごと隕石に体当たりしその結果爆発を引き起こした(ツングースカ宇宙現象基金)説などです。

ツングースカ大爆発については日露戦争が終わって間もないころだったこともあり、初めての現地調査は爆発から13年後。1940年にかけて天文学者レオニード・クーリックを中心としたソ連科学アカデミー調査団が現地調査を4回行ったものの、クレーターや隕石は発見できませんでした。

その後、爆発の威力は5メガトン規模(広島型原爆の約333倍)だったことが分かり、2007年には米サンディア国立研究所の研究チームにより、隕石自体は従来考えられたサイズより小型で広範囲の被害は大気中でのエアバーストによるものとしています。

参考: WIRED.jp,Wikipedia