超音波で気分を操作

アリゾナ大学の研究チームは、脳の特定の部位に超音波を当てると人間の気分が変化することが判ったといいます。同研究は薬を使用しない診療につながる可能生があるとしています。

この研究では、1秒あたり約1,000万回振動する超音波によって、気分に関係する脳の部位にある微小管(細胞中に見いだされる直径約25nmの管状の構造)を、だいたい同じ周波数で共鳴させることが理論的な要になっている。

アリゾナ大学意識研究センターの研究チームは、ヴァージニア工科大学で行われた動物の脳に超音波をあてるという実験の結果に興味をもった。スチュワート・ハメロフ博士は、慢性痛のある患者の志願者にこの方法を試すことにしたが、その前にまずは自分で試してみた。超音波を送る装置を15秒間、自分の頭に向けたところ、最初は効果を感じなかった。しかし「それからおよそ1分後、まるでマティーニを飲んだような気分になり始めた」とハメロフ博士は言う。

超音波で気分を操作
写真:スチュワート・ハメロフ博士自らが被験者となる

この実験について、まず最初にスチュワート・ハメロフ博士自身が被験者になりました。しかし信じるだけで効果がでる偽薬効果の疑いもあることから、慢性痛のある患者の志願者を対象に臨床研究を行うことになったとのことです。

偽薬効果が出ないよう工夫し実験を進めたところ、 頭蓋に超音波を照射した患者は気分改善(最大40分間)がみられ、照射しなかった患者は気分に変化がなかったことが判りました。

脳にどのような作用が起こっているのかはよく分かっていないものの、超音波が微小管とニューロン(神経細胞)膜とに作用すると考えられています。また研究論文では、「微小管はシナプスの可塑性に深く関係しており、理論的には学習、記憶、および意識経験に関わる可能性がある。頭蓋に超音波をあてることは、抑うつ症や低酸素の外傷性脳損傷、脳卒中、学習、アルツハイマー病、精神疾患、意識状態の変化といった、精神や神経のさまざまな疾患に有用な可能性がある」としています。

参考:WIRED.jp
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