T-Omega Wind_1

洋上に浮かせる形で運用する浮体式洋上風力発電。海洋国家の日本でも間違いなく注目されていく技術なのですが、実は水深が深い海域では設置できないという欠点があります。そこで今回は従来の1/3程度にまで抑えることができ、安価に運用できるT-Omega案の風車を紹介します。

ボストンの新興企業 T-Omega Windが発案したのは大規模な嵐や12mという巨大な並にも耐えることができるという独自の浮体式洋上風力タービンです。既に同社は設計・試作を終えており試験も終了したと説明しています。

T-Omega Wind™
T-Omega re-thinks floating offshore wind turbines for huge cost savings

この洋上風力発電装置の特徴は何と言ってもより安価に、かつ日本のように浅瀬が少ない海域にも比較的安価に設置することができるというものです。

実は洋上風力発電には2つ方式があります。一つは海底に突き刺すような形の固定式。そして最近では海底におもりで固定しつつ浮かせる浮体式です。浮体式は「安価」とされいるのですが、これは水深に左右されるらしく非常に深い海(具体的な深さは不明)になると浮体式は固定式よりも2~3倍ものワットパフォーマンスが悪化するといいます。つまり設置やメンテなど維持費用で浮体式は費用対効果が極端に悪くなっていくそうです。

しかしT-Omega Wind案では非常に軽量で従来の浮体式の約20%しかなく、コストも実に30%に抑えられています。

T-Omega Wind_2

特徴としては通常は1本の支柱でタービンを翼を支えるものの観覧車のように4つの支柱で支えています。これにより通常は2~3インチの厚い金属を使用する必要があるのですが0.5インチ厚に抑えることができ溶接なども容易になるとのこと。また発電するタービンも従来のものとは異ななるとしています。

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そしてメンテナンスに関しては構造自体は25年間メンテナンスフリーを目指すとしており、可動部分などはどうやら3年の交換を考えているとしています。そのメンテナンスもタグボートを使って港まで持ってくる形でメンテすることができるとしており専用の船は不要だとしています。

洋上風力発電は今後世界中で大規模に設置される可能性がある分野の一つで技術面でも日進月歩、数ヶ月ごとに新しい案のタービンが考案されるなど注目が高まっています。