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ロシアが国内法を理由にこれまで動員していなかった国民に対しての動員令について、プーチン大統領は解釈を変更するような形で『部分的動員令』を発令しました。この動員例は第二次世界大戦後初となります。

このロシア、というよりもプーチン大統領が決めた『部分的動員令』とはそもそも何なのかというと、分かりやすい日本語で表現すると『部分的徴兵』という言葉にあてはめられると考えられます。

動員されるのはあくまで『予備役』です。軍事関連の教育をうけた人だけだろうと思ってますのですが、ロシアの人口は1億4000万人に対して『予備役』にあたる人口はなんと2500万人もいます。女性はないとして男性の約7000万人程度で成人人口の2500万人がこの予備役にあたるというよくわからない規模です。

この予備役はどういう流れで軍事訓練を受けた人なのかは不明なのですが、今回の予備役で徴兵するのは30万人規模だとしています。

徴兵されるのは誰か

予備役といっても素人からある程度軍事訓練を受けた人までいると考えられるのですが、セルゲイ・ショイグ国防相によると「軍務経験者、軍事分野において専門性を持つ者、戦闘経験者」だとしています。つまり退役軍人など何らかの理由で軍から離れたような人が対象になっている可能性があります。

また出兵先については「特別作戦が実施されている地域に送られたりすることはない」としており、そのまま読み取ればウクライナ国内ではないとしているのですが、今後の戦況の悪化でそうはならないと考えられます。


ロシアでは今年プーチン大統領が兵力を増強すると発表したものの国民がこれを拒否。ロシア政府は囚人やホームレスを動員しようとしていたと西側が報じています。このようにほとんど集まっていないことが伺われていた状況でプーチン大統領は法律でできないとしてきた徴兵を半ば強引に実行したということになります。

セルゲイ・ショイグ国防相は「ウクライナにおける戦線は1000キロメートル以上だ。後方支援を必要としている」と後方支援に当たるとしているものの、そもそも少し前まではもっと戦線が伸びた状態になっており、なぜ今になってから徴兵を始めたのかを考える必要があります。

当然ロシアには各地方に軍事訓練を受けた兵士が存在しています。なぜそこから招集しないのかは疑問ですが、既に余分な兵力はウクライナに投入済みの可能性があります。そして徴兵した戦力は後方支援にあてることで後方支援に従事している軍人をウクライナの戦線に送り込むという戦術ではないかと思われます。

いずれにしてもウクライナでの戦況が明らかにロシアが劣勢となっており、プーチンの個人的な野望を実現するための『人間の駒』として国民が徴兵されることを意味しています。