Quicksink

アメリカで最近開発が進められていると報じられていたのはQuicksinkというプログラムです。これはJDAMで知られる戦闘機も運用できる航空爆弾を対艦攻撃できるよう各種センサーを取り付けるというものです。


こちらが新たに公開されたQuicksinkによる対艦攻撃映像です。ダイジェストで紹介するとこうなります。

▼垂直に近い角度でGBU-31、2,036ポンド(約924kg)爆弾が落下。
Quicksink_1

▼注目なのは船ではなく、船近くの海に落下している点
Quicksink_2

▼起爆、2つに折りました
Quicksink_3

▼轟沈
Quicksink_4

QuicksinkはMk.84に精密誘導装置を搭載したGBU-31(V)2/B 2000ポンド爆弾、いわゆるJDAMと呼ばれているものに『Quicksink シーカー』を搭載したものです。このシーカーにはイメージング赤外線(IIR)カメラとレーダーシカーの2つを搭載しています。
爆弾本体はGBU-31と同等らしく、爆弾の後部にはGPS 支援慣性航法システム (INS) 誘導パッケージが搭載されています。

誘導と起爆

記事によると誘導方法については戦闘機などに搭載した状態で投下。爆弾はターゲット領域まで滑空し搭載センサーまたは機外センサープラットフォームから入力された座標まで移動します。ここまでの移動は通常のJDAMと同じと考えられます。

ターゲット領域に近づくと開発したQuicksink シーカーに誘導方法が切り替えられます。ターゲット船の位置を特定。その速度と進路を決定します。独立したシーカー システムを使用することでGPS信号が低下した環境であってもレーダーとIIR カメラによりターゲットをロックできる可能性があることを意味しているとのこと。

Quicksink_5

この爆弾の特徴は船に命中させないというものです。実は船に命中させないほうが大きいダメージを与えるとしており、爆弾は上の画像のように海に落下してまもなく起爆。喫水線の下の船体の近くで爆​​発させることで海面が盛り上がるのと同じように船が持ち上げられることで2つに折るという効果が発揮します。

更に大型の空母などでも爆発による衝撃が船に伝わることでほぼ航行不能の状態に陥るか、少なくとも戦闘の継続は不可能になると予想されています。

Quicksink=安価な魚雷

Quicksink プロジェクトの主な目標は、駆逐艦や潜水艦から発射される魚雷と少なくともある程度は同等の攻撃力を提供する低コストの空中投下兵器とすることです。米国製のMk 48のような重量級の魚雷は非常に大型の軍艦でも艦底で起爆させることで船体を破壊し沈めるように設計されています。

しかしこの魚雷はあまりに巨大で潜水艦から発射する必要があり柔軟性に欠けます。もちろん、潜水艦であるため移動速度が遅く必要なときにそこにいるとは限りません。そこでこのQuicksinkを用いるという方法です。

Quicksinkはシーカーの価格が現在の価格で20万ドル(約2800万円)です。ただし、今後大量生産に入ればある程度安価になるとしています。対艦兵器はその標的が大型であるため兵器も大型化する必要があり通常100万ドル(1億4000万円)以上と非常に高価です。そこで通常の航空爆弾にJADMキット、そしてQuicksinkを搭載することで航空機からより安価に運用しようという設計思想になっています。

欠点

もちろんQuicksinkには欠点があります。それは元が自由落下させる爆弾である点です。この爆弾にJADMという地上攻撃用の精密誘導装置JADMを搭載すると投下したところから最大で24km程度はなれたターゲットを破壊できるとされています。

▼JDAMキット

JDAM

つまり射程が目安として24km程度しかなく敵の防空ミサイルの射程内にまで入り込む必要があり有人機では非常に危険な任務となります。そのため無人機や高価なミサイルを必要としない主に輸送船といったターゲットに対する攻撃になると考えられます。

参考