フンガ・トンガ噴火

新年が始まって落ち着いた1月15日、トンガ近くの海底火山で記録的な噴火が発生。その噴煙は北海道の面積にたっするほどの規模だったのですが、この海底火山で発生した大量の水蒸気により地球温暖化が発生する可能性があるとしています。

少なくともここ数十年で最も強力火山噴火となったフンガ・トンガ噴火。その衝撃波により気圧が変わり日本では気象津波という極めて珍しい出来事が発生しました。一方でフンガ・トンガ噴火では温室効果がある大量の水蒸気発生させてたことが確認されており、これが一時的な地球温暖化に繋がる可能性があるのではないかという疑問がありました。

具体的にどの専門家が指摘しているのかまでは記載はないものの、この手の研究をしている科学者のおおよその意見として、このフンガ・トンガ火山により発生した大量の水蒸気で今後数ヶ月後まで温暖化が発生する可能性があると指摘しています。

The Tonga Eruption's 50 Million Tons of Water Vapor May Warm Earth For Months to Come : ScienceAlert

温室効果がある水蒸気

地球上の水蒸気は温室効果があり太陽の熱により発生し地球の気温を保ちつつ常に変動が少ないバランスが取れた状態にあると考えられます。しかしフンガ・トンガ噴火では海底火山ということもありオリンピックプール58,000杯分、約146テラグラム(146兆g)という規模の水蒸気を発生させました。

これは地球の成層圏にある水蒸気の約10%に達する量であり、結果的に地球の成層圏にある水蒸気の5%分が供給された可能性があることがわかりました。つまりこの5%という水蒸気が成層圏の冷却と地表の加熱のサイクルを引き起こす可能性が十分に考えられるということのようです。

具体的にどの程度温暖化が発生するのかはよく分かっていません。少なくとも2022年9月以降も数ヶ月にわたり温暖化の影響があるのではないかとしています。

一方で、当然「水蒸気=水」であるため自然に消えていくのですが、問題は水蒸気は軽いため重力の影響を受けにくいとしており「長期間漂うだろ」としています。
ちなみに火山というと火山灰やチリなどの細かいエアロゾルが大量に舞い上がることで太陽光を遮断し地球が寒冷化することが知られているのですが、例えば1991年にフィリピンで発生したピナツボ火山ではエアロゾルにより少なくとも1年間で平均気温を0.5度低下させていたことが分かっています。つまり今回の水蒸気ではこれとは逆のことが発生するだろうという指摘です。

今年の異常な高温はこの火山が原因か

北半球では今年記録的な猛暑とり欧州ではここ数世紀は発生していない水不足で川の水量が極端に低下するなど、当然東アジアでも記録的な猛暑と低降水量が確認されたところもあります。局所的ではなく明らかに地球規模で何らかの異常が発生していたことは間違いなく、この影響が火山噴火による温暖化にあるのかは今後の研究で分かっていくことになると考えられます。