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アメリカの民間企業、SpinLaunchが開発しているのは遠心力を使用して宇宙にモノを打ち上げるシステムです。先日10回目の試験を終え、打ち上げ速度は時速8000km/hという極超音速に達していたと発表しています。



アメリカ、カリフォルニア州に拠点を置くSpinLaunchが現在開発しているのは、クルクルと回転させて速度を上げちょうどいいタイミングで切り離し切り離し発射、そのまま宇宙を目指すという発射台です。


こちらが7回目の試験打ち上げの様子です。今回は10回目となりテストタスクの実行中、発射体は加速器で約8000 km/hの速度に達し、最大10,000Gという重力加速度に達する速度で回転したと発表しました。これは想定されていた数値でありSpinLaunchは「今回のテストで衛星コンポーネントを打ち上げる条件に達したことが確認できた」と説明しています。

SpinLaunchの打ち上げシステム

SpinLaunchが運用しているのは全長91mの加速器です。冒頭の映像でも紹介したように内部でクルクルと回転させ、十分な速度に達した後に放たれます。もちろん加速器内は真空となっており、これで空気抵抗を抑えます。

そして発射体は膜を突き破り極超音速の速度で宇宙まで運ばれます。ただ、過去の資料ではこれだけでは地球軌道には達しないということを見たことがあり、別途エンジンを搭載して加速することで地球軌道を周回できるようにするとしています。

この打ち上げシステムは発射台や高価なエンジンを使用していないのですが、一方で1万Gという強烈な重力が発生してしまうため用途が限られる問題があります。例えば衛星にしてもこの1万Gに耐える構造にしなければなりません。

ただ、それでもNASAはこの計画に投資しており、今回の10回目の試験では「NASAのペイロードを打ち上げて地球に戻した」としており、これは発射体や打ち上げにかかる様々な衝撃などの測定が行われたと考えられます。