バーテイル ゴッドウィット_3

身近にいるスズメから毎年寒い季節になるとやってくる白鳥まで様々なタイプがいますが、この鳥に関して、生後わずか5ヶ月の鳥が13,560kmという距離をわずか11日間で飛行していたことが証明され世界記録となったと報じられています。

ツバメや白鳥など大陸間を移動する渡り鳥は多く存在していますが、具体的にどのルートで飛行しているのか、長距離を飛行する鳥については探査機器の小型化が進んだこともあり研究が進んでいます。

今回紹介するのはそこらの怪しい大学が行った研究ではなく米国地質調査所、マックス プランク研究所、および米国魚類野生生物局の共同科学者チームというガチの研究者らが行い証明したものです。
調査の対象となったのはシギ・チドリ類の鳥です。この鳥はアラスカから越冬地するため南下することが知られており具体的にどこまで飛行しているのか研究されました。

Juvenile bar-tailed godwit "B6" Sets World Record | U.S. Geological Survey
https://www.usgs.gov/centers/alaska-science-center/news/juvenile-bar-tailed-godwit-b6-sets-world-record

調査された個体は『バーテイル ゴッドウィット』、和名はオオソリハシシギと考えられるのですが先程も紹介したようにチドリ類です。既に長距離飛行することは知られていたのですが、研究者らは重量わずか5グラムの太陽光発電付きGPSを背中に搭載、更に個体を識別するために足に数字を付けたものを放ちました。

バーテイル ゴッドウィット_2

飛び立ったのはアラスカ、ベーリング海に面する地域。このエリアはチドリなどの鳥は沿岸生態系が豊富であり餌が採れることもあり37種ものチドリが繁殖のため過ごすといい、その多くが越冬のため南下、長距離しています。

▼バーテイル ゴッドウィット、日本にも来るらしい


そして今回調査の対象になったのは親鳥ではなくその子供です。わずか生後5ヶ月という個体でした。
バーテイル ゴッドウィット_1

こちらがGPSのデータから明らかになった飛行ルートです。なんとアラスカ州ノーム近くのスワード半島から赤道を通過。オーストラリア大陸を横目に南にあるタスマニア島に着陸しました。

そして驚くことにこのチドリは離陸してから1回も陸に着陸することなく、1回も餌をとらず、人間みたいに睡眠をとることもなく11日間飛行し13,560kmの距離を一度に飛行しました。もちろん生後5ヶ月の幼鳥というか若鶏です。

これは現在確認されている中でも最も長距離を移動した個体として世界記録となりました。当然人間であれば数日も食事をとらなければ死んでしまうのですが、鳥のエネルギー効率が極めて高いことが改めて証明されました。

ちなみにこの間の平均移動速は約51km/hとなりかなり高速で移動してることがわかりました。ただ、これが気流に載っているのかなどは不明です。

10ヶ月間飛び続ける鳥がいる

「11日間も飛びず付けてすごいなぁ」と思っていますのですが、鳥の中にはなんと半年以上、実に10ヶ月も一度も着陸することなく飛行できるという鳥が確認されています。



これはヨーロッパアマツバメで13羽に1gの小型端末を搭載し飛行速度や加速度、位置など測定した結果、一部の個体を除き調査された個体は10ヶ月間、一度も地上に下りることなく飛び続けていたことが明らかになりました。

このヨーロッパアマツバメは昔から『生涯の大半を飛行して過ごす』という仮説があったとされるほど優れた飛行能力があります。ちなみにこの10ヶ月は空中で餌をとるということを行っており、睡眠についても片方の脳を睡眠させもう片方の脳で飛行するということを行っているとされています。


また長距離を移動する鳥について、キョクアジサシは北極圏の南極圏の大陸間飛行を繰り返しておりその寿命の30年間の推定飛行距離は推定120~240万km。地球と月の1.5~3往復分とされ地球上で最も長距離を移動する鳥として知られています。