射程外から敵基地攻撃する能力。最近日本では西の敵に対してそれを直接叩く兵器の導入が急加速しているのですが、16日に閣議決定する案の中に輸送機も攻撃能力を付与する計画が盛り込まれることが明らかになりました。
政府が16日に閣議決定する予定の防衛力整備計画に、自衛隊の輸送機や潜水艦に長射程ミサイルを搭載・発射可能にする方針を明記することが分かった。他国領域のミサイル基地などを破壊する反撃能力(敵基地攻撃能力)に活用する。開発に着手済みの地上や護衛艦、戦闘機への装備に加え、さらに発射拠点を多様にする。関係者が13日、明らかにした。輸送機を即席戦略爆撃機にする案とはどういうことなのか。簡単に説明すると輸送機の空中投下技術を使うことでミサイルを発射するという案です。運用するミサイルとは一般的に戦闘機や爆撃機から投下する長距離を飛行できる巡航ミサイルです。
産経ニュース
この技術は既にアメリカで開発されています。
#BREAKING video from 352nd Special Operations Wing successful test fire of a palletized Joint Air to Surface Standoff Missile (JASSM). Successful extraction of deployment box, release of JASSM with wing extension, and motor engagement during exercise #ATREUS22 #SOFinEurope pic.twitter.com/3hLcXDJ3bl
— US Spec Ops Europe (@US_SOCEUR) November 9, 2022
これは輸送機に長距離空対地ミサイルを搭載し展開するラピッドドラゴンシステムというものです。
この技術について詳細は不明なのですが、考えられるものとしては輸送機を専用の爆撃機に改装するのではなく、データをやり取りできるような装備を搭載し輸送機として使用する一方で爆撃機として使うという案になっていると考えられます。
輸送機は豊富な輸送能力からこれまでも規格外の大型爆弾を投下したり場合によっては地上を直接叩く戦術爆撃機・戦術攻撃機としても改装されたことがありこのようなアイディア自体は珍しいものではありません。
いずれにしても爆撃機は爆撃任務という狭い範囲でしか運用することができずアメリカのように核を運用する軍事大国が保有しているという程度です。輸送機は兵員輸送から災害派遣まで様々な任務に使用できる万能機でありある意味でコストパフォーマンが優れています。
また爆撃の配備となると日本では政治的にも難しいものの『輸送機』という名目であれば導入は楽であるという最大の利点があります。
日本に展開している輸送機は航空自衛隊入間(埼玉)、小牧(愛知)、美保(鳥取)の3基地となっているのですが、今後は輸送機の拡充と部隊の再配備から北海道や九州・沖縄、日本海側といった西側に展開されるものと考えられます。