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アルツハイマー型認知症についてその男女比は65歳未満では半々ですが、65歳以上になると女性が多くなります。これに関して補体成分3、いわゆる『C3』が原因になっている可能性があると米研究機関が報告しています。

Scripps Research とマサチューセッツ工科大学 (MIT) が行った研究によると、アルツハイマー病で亡くなった女性の脳組織を調べたところ、補体成分3『C3』が男性よりも6倍も多く存在していたことがわかったとしています。
結果として、このC3が何らかの女性のアルツハイマー病に影響している可能性があると説明しています。

Mechanistic insight into female predominance in Alzheimer’s disease based on aberrant protein S-nitrosylation of C3 | Science Advances
https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.ade0764
Discovery Could Explain Why Women Are More Likely to Get Alzheimer’s - Neuroscience News
https://neurosciencenews.com/c3-women-alzheimers-22078/

研究が行われたアメリカでは600万人が罹患しており、通常は10年以上前から徐々に進行が始まるものの現在進行をとめるという薬は存在していません。またアメリカでは症例の3分の2を女性が占める理由もよくわかっていません。

今回の研究では40人の死後の脳を分析しタンパク質を定量化するという方法を用いました。研究された脳の半分はアルツハイマー病で亡くなった人、半分はそうでない人からのもので各グループは男性と女性に均等に分けられました。

結果、脳からはS-ニトロシル化された1,449の異なるタンパク質を発見しました。タンパク質の中にはC3 などすでにアルツハイマー病と結び付けられているものがいくつかあったとのこと。そしてS-ニトロシル化 C3 (SNO-C3) の量について、男性のアルツハイマー病の脳と比較して女性のアルツハイマー病の脳では6倍以上高かったとしています。

アルツハイマー病の脳は正常な脳と比較して補体タンパク質やその他の炎症マーカーのレベルが高いことが30年以上前から知られていました。特に最近の研究では補体タンパク質がミクログリアと呼ばれる脳常在免疫細胞を誘発することで脳細胞のニューロンが互いに信号を送る接続点であるシナプスを破壊していることを具体的に示しています。

つまりアルツハイマー病発症のプロセスの根底に、このシナプス破壊メカニズムが少なくとも部分的にあるのではないかとみています。

女性に認知症患者が多いのは女性ホルモンであるエストロゲンは特定の条件下で脳を保護するという効果があることが知られているものの、閉経を堺にエストロゲンも急低下するらしくこの低下に伴いSNO-C3が増加し始めることを培養ヒト脳細胞を用いた実験で明らかにしているとのこと。

いずれにしてもこのSNO-C3が男性・女性とも不死の病となっているアルツハイマー型認知症の発生原因の一つになっている可能性があり、今後動物実験などを行い人間でも低減できるような方法を見出したいとしています。

*抄訳したものを掲載しています。医学的な内容につきましては必ず医師の説明を受けてください。