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認知症を引き起こす1つとしてアルツハイマー病があるのですが、何が原因で患うのか有力な候補はあるものの未だに特定されていません。これに関して嗅覚系ウイルスの日常的な感染によりアルツハイマー病 (AD) の進行が加速される可能性があると報告されています。

アルツハイマー病に関してその原因は何らかのウイルスにある可能性が示唆されており、過去何十年も研究されその原因が様々報告されてきました。今回はその可能性がある一つの説になるのですが、嗅覚です。

Olfactory Viral Inflammation Associated with Accelerated Onset of Alzheimer’s disease
https://news.cuanschutz.edu/news-stories/olfactory-viral-inflammation-associated-with-accelerated-onset-of-alzheimers-disease
New evidence links nasal viral infections to rapid Alzheimer's progression
https://newatlas.com/science/nasal-viral-infections-olfactory-rapid-alzheimers-disease/

以前からアルツハイマー病を患う人はその前に嗅覚が落ちるなどという話があります。これは研究者でも知られているところで、嗅覚機能の喪失や低下はアルツハイマー病の神経変性の潜在的な初期マーカーであることがわかっています。

問題なのはその嗅覚障害、つまり何らかの鼻に感染するウイルス感染がアルツハイマー病を加速させているのかという疑問です。

コロラド大学の研究者は調査するためにアルツハイマー病で死亡した数人の死後の脳組織を分析しました。結果、年齢が同じ認知機能が健康な被験者から採取された組織サンプルと比較した場合、アルツハイマー病を患ったグループは海馬につながる重要な経路である『嗅覚路』にウイルス感染と炎症の実質的なマーカーを示していたと報告しています。

研究者は「アルツハイマー病の初期兆候の1つが嗅覚の喪失であることはわかっています」とし「嗅覚経路全体が海馬に行きます。その経路に沿ったシグナル伝達を減少すると海馬へのシグナル伝達が減少することになり、これが使わなければ失うことになる(つまり認知症になる可能性がある?)」と説明しています。

今回の研究ではどの特定の病原体が原因であるかに焦点を当てていません。

研究者によると「日常的に嗅覚系の病原菌に侵されることでアミロイドの沈着、ミクログリアの活性化、髄鞘の変化などの病理的影響を受けていることを表しているのかもしれません」といい、「初期のアルツハイマー病は嗅覚の喪失、嗅覚上皮におけるアミロイドの沈着、嗅覚ニューロンの機能障害によって特徴づけられるという一連の文献と照らし合わせると、この研究は嗅球・嗅管へのウイルス感染がアルツハイマー病を加速させている可能性を示唆しています」と主張しています。

*抄訳したものを掲載しています。医学的な内容につきましては必ず医師の説明を受けてください。