
NASA、アメリカ航空宇宙局はアメリカ国防総省のDARPAと共同でこれまでの科学ロケットとは異なる原子力推進を利用したエンジンを開発し、宇宙空間でロケットを加速させるエンジンを2027年に試験すると発表しました。
この共同研究は「Demonstration Rocket for Agile Cislunar Operations(DRACO)」と名付けられているもので、具体的にどのようなものになっているのかというと、原子炉で熱せられた燃料棒に推進剤、つまり液体水素などを接触させて膨張。これを噴射することで加速するという構造として単純なものです。
従来は科学ロケットとして真空の宇宙空間に酸化剤である液体酸素を搭載し推進剤と混ぜることで燃焼させていたのですが、原子力推進エンジン、いわゆる熱核エンジンでは酸化剤は不要であるため理論上は推進剤のみで運用することができます。

こちらが今から50年ほど前の1960年代に開発された熱核ロケットエンジンNERVA(ナーヴァ)です。液体水素をエンジンの噴射ノズルを経由しターボポンプで循環させたあと、核燃料で構成させる原子炉内に入り加熱させます。高温に加熱された液体水素は気体となり膨張した水素ガスをノズルから噴射させることで推進力を発生させます。
核熱エンジンについてはアポロ計画時代の1960年代に「NERVA(ナーヴァ)」というものが実際に開発されており地上試験など複数回実施されてきました。つまりすでに技術的には解決可能なものです。
この極めて強力なエンジンは1969年頃、アメリカでは1978年には有人火星飛行、1981年には大規模な月面開発を行うと発表していたものの、東西冷戦など複雑な世界となったこともあり実用レベルに達していたものの1972年にリチャード・ニクソン政権により全ての計画が中止されました。
しかし有人火星探査というアメリカが定めた戦略をクリアするためには従来の科学ロケットでは往復に約500日、高い宇宙放射線被爆が予定されるため宇宙飛行士保護のため特に行き来の時間を削減する必要が求められます。
この核熱エンジンについてはスペックでは様々速度が出せるのですが、現在の核熱推進では火星までの到達はわずか3か月、90日間程度と見積もられています。これは200日かかる片道の半分以下です。ただ今回報じられた内容では「往復に2年」と表現がされているため、搭載するエンジンについてはかなり小型なものになるのではないかと予想されます。
従来は科学ロケットとして真空の宇宙空間に酸化剤である液体酸素を搭載し推進剤と混ぜることで燃焼させていたのですが、原子力推進エンジン、いわゆる熱核エンジンでは酸化剤は不要であるため理論上は推進剤のみで運用することができます。

こちらが今から50年ほど前の1960年代に開発された熱核ロケットエンジンNERVA(ナーヴァ)です。液体水素をエンジンの噴射ノズルを経由しターボポンプで循環させたあと、核燃料で構成させる原子炉内に入り加熱させます。高温に加熱された液体水素は気体となり膨張した水素ガスをノズルから噴射させることで推進力を発生させます。
2019年時点で核熱利用はほぼ決定されていた
ではなぜ、今核熱エンジンなのかというとそもそも今になって計画されたものではありません。少なくもNASAは2019年10月時点でNASAの長官が核熱推進の必要性を訴えており、ほぼ有人火星探査は核熱推進が利用されるだろうということは当時から噂されていました。核熱エンジンについてはアポロ計画時代の1960年代に「NERVA(ナーヴァ)」というものが実際に開発されており地上試験など複数回実施されてきました。つまりすでに技術的には解決可能なものです。
この極めて強力なエンジンは1969年頃、アメリカでは1978年には有人火星飛行、1981年には大規模な月面開発を行うと発表していたものの、東西冷戦など複雑な世界となったこともあり実用レベルに達していたものの1972年にリチャード・ニクソン政権により全ての計画が中止されました。
しかし有人火星探査というアメリカが定めた戦略をクリアするためには従来の科学ロケットでは往復に約500日、高い宇宙放射線被爆が予定されるため宇宙飛行士保護のため特に行き来の時間を削減する必要が求められます。
この核熱エンジンについてはスペックでは様々速度が出せるのですが、現在の核熱推進では火星までの到達はわずか3か月、90日間程度と見積もられています。これは200日かかる片道の半分以下です。ただ今回報じられた内容では「往復に2年」と表現がされているため、搭載するエンジンについてはかなり小型なものになるのではないかと予想されます。