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私達一般人が利用できる中で最も高速なのは旅客機です。近年エンジンを中心に優れた燃費・航続距離を出す機体が出ていますが、大手ボーイングは翼が2枚重なったような遷音速トラス ブレース翼を採用したフルサイズ旅客機を試作すると発表しました。

海外メディアによると、これはNASAつまりアメリカ政府から4億2,500万ドルの契約の元開発されるというもので、機体は遷音速トラス ブレース翼 (TTBW)を採用しているという大きな特徴があります。

Boeing to build braced-wing airliner, shooting for 30% efficiency gain

見出しの画像でもわかるようにトラス ブレース翼は薄く細長い形状の主翼の下にさらに短い補助翼のようなものが付いており、この2つが途中で結合している形状です。

これにより抗力、空気抵抗が抑えられ優れた飛行効率を発揮するというものでその燃費はあくまで推定として30%ほど高まるのではないかとしています。

この30%は、例としてスイス航空は1%燃費が優れた空気抵抗低減用の Aeroshark フィルムを12機のボーイング777に貼り付けたところ毎年4,800トンのジェット燃料の使用を削減することができたとのこと。これは1機あたり年間50万ドルに匹敵する量であり、仮にアメリカン航空のような事業者にとってはたった1%の効率向上をすることで保有する1,000機あれば年間5億ドル近い削減になるとのこと。

つまり仮の話として、例えば30%優れた機体が全機体が置き換えれるという無理な数値で計算すると、合計で150億ドル、軽く1兆円削減できるというゲームチェンジャー的な可能性が一応あるというものです。

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トラス ブレース翼の開発

細長い主翼は現在グライダーで多く見られています。より長く、よりスリムで、アスペクト比の高い翼で得られるより高い揚力とより低い抗力の特徴から、ボーイングが 2016年にテストしていたコンセプトでは同等の標準的な航空機よりも約50%広い翼を持っていたとのこと。

しかしこの構造はすぐれていません。最も安全性が求められる旅客機として使用するには構造的に問題があるという理由です。そのためボーイングの設計では、胴体の上部から翼を吊るし、機体の胴体から伸びる長いトラスで翼を支える構造にしました。このため2重の翼になりました。形状は慎重に成形された翼型であり強度と安定性だけでなく揚力も追加する利点があります。

ボーイングによると当初、マッハ 0.70 から 0.75 (時速835~895 km/h) で巡航する亜音速コンセプトとして従来の旅客機よりも50%少ない燃費になると推定。2019年にコンセプトが再設計されより高速飛行可能なマッハ 0.8 (955 km/h)という現代の旅客機の遷音速速度で飛行できる構造に改造しました。

ボーイングは「推進システム、材料、およびシステム アーキテクチャの予想される進歩と組み合わせると、TTBW構成における旅客機は今日の最も効率的な機体と比較し燃料消費量と排出量を最大30%削減できます」と指摘しています。