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人が文化的な生活を送るには熱が必要です。エアコンなどの暖房機器は必要となるのですが中国で建設された海陽原子力発電所では年間実に石炭90万トン分に匹敵する熱を提供することに成功していると報じられています。

海陽原子力発電所は昨年7月以降に試験的に熱回収装置を設置することで原子炉で作れた熱(高温の冷却水)を用いて周辺地域に捨てる熱を提供しています。

China Nuclear Power Plant Provides Heat to Replace 900,000 Tons of Coal per Year | NextBigFuture.com

長距離パイプラインの年間暖房能力は 970万ギガジュール。1,300 万平方メートルの地域に熱を供給ししているといい、これだけで100万人に匹敵する住民の熱需要を満たすことができるとしています。結果、約90万トンの石炭の消費削減となり二酸化炭素排出量は165 万トン削減されるとのこと。

施設は2020年11月に正式に周辺地域へ熱供給開始。このプロジェクトは国内初となる商業用原子力暖房プロジェクトとして2022年の冬に開始しました。現在は工場の寮を含む700,000 平方メートルの住宅に熱を供給しています。

今後の計画としては2025年までに原子力の熱エネルギーをエリアを400万平方メートルまで拡大し海塩県の主要な都市エリアのエリア全体をカバーすることだとしています。

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こちらが一般的な原子力発電所を用いた熱供給です。本来は海水などを持ち海などに捨てている復水器の冷却水を熱として地域に供給するというものです。

ただ、この方法では原子力が停止状態では供給も停止することになり暖房は完全に不要とはなりません。原発の運用コストは化石燃料に比べて安定しており、費用が一定になるという特徴もあると思われます。

もちろん本来は捨てる熱を利用することになり、開発自体も難しくないため原子力発電所の費用対効果も高まると考えられます。