A-10

アメリカ空軍が保有する機体の中でも地上攻撃に特化した尖った性能のある機体として知られるA-10。一方で退役する時期についてはこれまで何度か出されているのですが、空軍参謀総長の主張として2029年頃の全機退役説を提唱しています。

30mmという大口径の機関砲を打ち下ろす形で敵戦車のも攻撃可能なA-10。一方で音速飛行できない、機銃掃射するには危険な低空を飛行しなければならないなど現代のミサイルが飛び交う戦場では極めて危険な任務となります。

もちろん装甲や墜落しないような工夫がされており「被弾しても帰ってきた!」という内容が度々武勇伝のように語られることがあります。ただし墜落しないのは半ば運の話でありステルス機などに比べると圧倒的に攻撃にさらされやすいことは間違いありません。

そんなA-10に関してコロラド州オーロラ — 空軍参謀総長 ブラウン氏は、空軍としては今後5年か6年後に全てのA-10を退役させる可能性が高いんじゃないかという話をしていると報じられています。

▼2014年「A-10退役と報じる」


A-10については米空軍での扱いや考え方についてはこれまでイラクやアフガンといった防空網が無いような地域では活躍できたものの中国のような近代的な防空設備がある国では低空でのミッションは生き残ることができないと評価しているという内容が記載されています。



そのため空軍は米国議会にA-10の退役を開始し代わりに新しいジェット機を導入するための許可を繰り返し求めてきたものの2023 年度の予算が承認されるまで議会によって毎回拒否されており、現在のように退役するする詐欺のような流れになってしまっているとのこと。

ただそれも今までの話であって、A-10は今年21機を退役するとしており、これによりアメリカ空軍が保有する機体は281機から260機に減ります。代替機についてはF-35とおもいきやF-16だとしています。

ブラウン氏はA-10に関して「将来の戦争を想定した場合、空軍としては複数の役割を果たすことができる航空機(マルチロールファイター)を必要としており、A-10の有用性はあまりにも限られている」と主張しています。つまり単純な攻撃機は他に用途がなく使いにくいとしています。
加えて既に空軍の戦闘部隊は単一任務の航空機であるA-10は要求はしていない、つまりいらないとしており、むしろA-10を飛行させるために無駄な労力を取られているとしています。

ブラウン氏は「A-10は敵が攻撃してこない戦場では素晴らしい機体だが、将来はより厳しい環境で戦うことになる」と主張しており、A-10は時代にあった機体ではないとしています。