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地上及び海底ケーブルでその殆どが成り立っているインターネット網。アメリカのスペースXは新たに人工衛星を大量に展開し宇宙に築こうとしています。一方でこれに対抗するアマゾンは同様の衛星インターネット網の構築を発表しました。来年にサービス開始するとしているものの衛星数は0です。

アマゾンが発表した衛星インターネット『プロジェクト・ケプラー』。要するに地球低軌道に大量の通信衛星を展開し、地上ではアンテナを設置するだけでどこでもインターネット接続ができるようになるというものです。

同様のものは既にスペースXのスターリンクが存在しておりアメリカ以外の地域でも既にサービスが開始されています。

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アマゾンの声明として「Project Kuiperは構築費用が500ドル(約6万7000円)未満の顧客端末を設計する』という野心的な目標を設定。小型で軽量な新しいアンテナアーキテクチャを開発しました。」とし、一般向けでは38センチ四方の平らなアンテナで通信速度は最大400Mbps、アンテナ本体は400ドルで販売するとしています。

2024年サービス開始、ただし現在衛星数はゼロ

ここで問題になるのはスターリングは過去数年研究を行い数千機の人工衛星を打ち上げようやく世界規模での衛星インターネット網の構築ができつつあります。必要なのは人工衛星の数です

一方でアマゾンは来年サービス開始としている一方で衛星は一つも打ち上げていません。理由はアマゾン、要するにブルーオリジンになると思うのですが自社で打ち上げ可能なロケット持っていないためです。

▼ヴァルカンロケット ブルーオリジン(アマゾン)製エンジンを載せたロケット
ヴァルカンロケット

アマゾンとしては人工衛星の打ち上げは2023年第1四半期にProject Kuiperのプロトタイプ衛星を打ち上げるとしているのですが、その衛星はユナイテッド・ローンチ・アライアンス、ULAのロケットとしているのですが使用するロケットは予想ではブルーオリジン製エンジンを搭載したヴァルカンになる可能性があります。

ただしヴァルカンは現在も開発中であり初号機は打ち上げられていません。つまり信頼性という点で実績がゼロであり仮に打ち上げが失敗するとなると数ヶ月で遅れるということになります。

月額はスターリンクより高いか?

気になるのは月額ですが、これは人工衛星のコスト、そして人工衛星の打ち上げコストで大きく左右されます。要するに安く人工衛星を作りやすく打ち上げられれば月額もさげることができるのですが、アマゾンはスペースXのように自社でロケットを保有していません。

肝心のヴァルカンロケットもスペースXの再利用Falcon9に比べて打ち上げコストは10億円単位で高くなることは確実です。他に既存のデルタシリーズのロケットがあるのですがこちらは論外です。つまり打ち上げコストの高さは月額利用料金として利用者に跳ね返ってくることになるというものです。

いずれにしてもヴァルカンロケットは開発中であり高コストの打ち上げとなることは間違いなく、スペースXのスターリンクよりも優れたものにするには利益ゼロで運用しなければならないなどかなり厳しい状況になるものと予想されます。