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再生可能エネルギーによる発電が進められている一方で太陽光発電は土地が必要になる問題があります。これに関してカリフォルニア大学はソーラーシェアリングとして植物の成長を阻害しない半透明のソーラーパネルをテストしています。

ソーラーパネルの下で農地として野菜などを育てる方法は『ソーラーシェアリング』や『営農型太陽光発電』などと呼ばれています。要するに一般的に土地面積=発電量になるソーラーパネルを例えば畑や田んぼに設置することで農業収益と売電収益の得るという新しい取り組みです。

Semi-transparent solar cells boost growth of greenhouse plants
https://newatlas.com/environment/transparent-solar-cells-greenhouse-plants/

問題なのは普通のソーラーパネルは透過型ではなく影ができることで植物の育成に問題が出る点です。韓国では高さ4mのところに通常のソーラーパネルを設置することで耕運機の運用と植物の育成が可能となる方法で、作物収益は15%ほど低くなるもののその分は安定した売電を行うことで逆に収益が高くなった…という結果が一応報告されています。



もっとも良い方法はビニールハウスのように透明の素材で農業ができ、かつ売電ができるソーラーパネルですが、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究者は炭素材料から作られたもので透明で柔軟な太陽電池に加工できる有機太陽電池を設計。これを温室のようなガラスで作られた屋根に設置するという案にしています。

これには理由があり、一般的に有機材料は日光で急速に劣化し発電効率が悪くなるという問題があるからだとしています。

そこで研究チームは有機物質の酸化と分解を防ぐためにL-グルタチオンと呼ばれる化学物質の層がある新しい素材を追加しました。テストではこの保護層がある場合とない場合の1,000時間の連続使用で太陽照射下置いたところ、普通の有機太陽光電池の変換効率は20%未満まで下がったものの追加のレイヤーを使用したものは電気の変換効率が84%までしか下がらなかったといいます。

具体的に植物はどう育ったのかという結果については太陽電池をモデル温室で動作させ小麦、緑豆、ブロッコリーを栽培。各作物は比較として1つは無機太陽電池のセグメントが点在する透明なガラス屋根で、もう1つは完全に半透明の有機太陽電池で構成される屋根で試験しました。

有機セルでは13.5%の電力変換効率を示し可視光の21.5%を通過させました。わずか2割だったもののこれら作物では十分だったとしています。むしろ温室内の植物は驚くべきことに従来の温室の植物よりもさらによく成長していたといいます。チームによると、追加したL-グルタチオン層が、植物に損傷を与える可能性のある紫外線、温室を過度に加熱する可能性のある赤外線をブロックしたのではないかと主張しています。

研究者は「有機太陽電池が従来のガラス屋根の温室よりも優れているとは思っていませんでした」と離しています。「実験を何度も繰り返しました。さらに調査と分析を行った結果、植物が成長するのに当初考えていたほど多くの日光を必要としないことがわかりました。実際、特に日光が豊富なカリフォルニアのような気候ではむしろ過度の日光への露出が植物に対して害を及ぼす可能性がわかりました」と説明しています。


記載内容は以上ですが、問題なのは仮にこの有機太陽光発電を設置した場合、そのコストと維持費用でプラスになるのかです。このような問題はカリフォルニアでは問題は無いと考えられるのですが、日本では台風や積雪が発生するため条件が相当厳しいものになるため変換効率13.5%としてもかなり難しい可能性があります。