image_205

ダイエットについてはここ10年以上新しい方法が生まれそして消えてています。しかし商業的に儲かる分野でその背景にあるのはダイエットに挑戦した人の80%が5年以内に元の体重に戻るためともされています。
ではもっと簡単に体重を維持する方法はないのでしょうか。今回はマックスプランク代謝研究所の論文を紹介します。

ダイエットでヨーヨー効果などと言われているのは体重が減るものの数カ月後に元に戻ったり、逆に悪化することがあるケースです。つまりリバウンドです。このリバウンドがあるため人はまたダイエットを始めるためモノを買います。

New discovery may make losing weight and keeping it off much easier
https://newatlas.com/health-wellbeing/losing-weight-keeping-it-off-easier/

Dieting: brain amplifies signal of hunger synapses | Max Planck Institute for Metabolism Research
https://www.sf.mpg.de/2054665/news_publication_20048019_transferred?c=2285

記事によるとダイエットの市場規模は2240億ドル、単純に100円換算で22兆4000億円という規模になります。さらに伸び続けており2030年代には4050億ドル、約40兆円まで成長するのではないかといわれています。

なぜこれほど成長するのか。理由は様々あるのですがその一つが先程紹介したようにリバウンドするためです。実に2年以内に50%がリバウンド、5年以内に80%がリバウンドするのですが、問題なのはリバウンドしたことで自身が長期にわたり感情的・心理的に悪影響を与える可能性があるとしています。

ダイエットすることで脳神経が変化、逆に空腹感が強まる

問題なのはなぜ人はリバウンドしてしまうのかです。
マックス プランク代謝研究所 (MPIMR) とハーバード メディカル スクールの研究者の論文がCell Metabolismに掲載されているのですが、まずダイエット中の脳内の神経経路に大きな変化が生じ空腹感を仲介する神経に伝達されるシグナルがはるかに強いことが確認されたといい、この強い空腹感を伝える信号を阻害することで科学者が体重を維持するためにより良い治療法を開発するのに役立つ可能性があるとしています。

研究者らはマウスに食事を与え空腹感を制御することが知られている視床下部のAgRPというペプチド ニューロンに焦点を当てて脳回路を監視しました。以前の研究ではこれらのニューロンを刺激すると食物消費量が急激に増加することが示されています。つまり空腹感や何かを食べたいという強い食欲がでるというものです。

動物が食事をしているときにAgRPニューロンへのニューロン経路が増幅。その増幅されたレベルで極端な空腹信号をもたらし食物摂取量の増加と体重増加の加速につながることを発見したとのことです。

「この研究は神経配線図が空腹を制御する方法の理解を深めます」とハーバード メディカル スクールのブラッドフォード ローウェル氏は述べています。「私たちは以前AgRPに物理的にシナプスを形成して励起する重要な一連の上流ニューロンを発見していました。私たちの現在の研究では、シナプス可塑性と呼ばれるプロセスでこれら2つのニューロン間の物理的な神経伝達物質の接続によりダイエットと減量によって大幅に増加することで長期にわたる過剰な空腹につながることを発見しました。」

研究者がこれらのニューロン間の接続を阻害するとAgRP活性が低下し動物は食物摂取に対してより制御された反応を示しました。当然のことながらこれにより体重増加が大幅に減少したとしています。

「ニューロン間の接続を絶つことでリバウンドを減らす機会が得られる可能性があります」と主張しており「長期的にはダイエット後の体重減少を維持するのに役立つ治療法を見つけることが私たちの目標です。これを達成するために私たちは人間の神経経路の強化を仲介するメカニズムをブロックする方法を探求し続けています」と説明しています。

まとめ

要するに食べる量を減らすなどのダイエットは脳細胞の接続を変化させ、空腹感や何かを食べたいという食欲の欲求を増加させるというものです。この接続を阻害してやると空腹感間が減り結果的に食べたいという食欲も抑えられるため体重も減るということのようです。

つまり食べ物の量を減らすダイエット方法は極めて古典的であり誰もが思いつく方法です。しかし、根本的にリバウンドを招く可能性が非常に高く実際は意味がないとも言えます。その上でどうすればいいのかという点については低カロリー・低糖質のものでいつも通り食べお腹を満たしたり、徐々に少しずつ食べる量を減らしていくことで長期的なダイエットを成功させることが望ましいとも考えられます。

*抄訳したものを掲載しています。医学的な内容につきましては必ず医師の説明を受けてください。