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先日宮古島付近で陸自の幹部8人、合計10人を載せた陸上自衛隊のヘリが墜落する事故が発生しました。これに関して一部SNSユーザーらが「中国海軍により撃墜された」ななどという主張をしているのですが正しいのでしょうか。

結論から先に書くと現時点で中国海軍が攻撃したという情報はなく発見された残骸からその証拠を示すものは存在しません。

そもそもなぜSNSの一部ネットユーザーらが「中国海軍が撃墜した」と主張しているのか。これについては同じ時間帯に中国海軍が具体的な位置は不明ですが航行していたというものが理由となっています。航行していたのは中国海軍の空母『山東』およびその機動艦隊のようなもので、駆逐艦を連れて沖縄本土と宮古島の海域を東に抜け太平洋へ向かったというものです。(詳細は不明)

今回陸自のヘリが墜落したのは4月6日午後4時頃の宮古島付近です。一方で中国海軍は4月5日午後11時ごろに発見され、翌日の6日の午前中にはこの海域は既に抜けていたと予想できます。国防省の発表でも6日に海域を南下し太平洋に向けて航行した(抜けた)としており、墜落した午後4時の時点ではヘリから見て島の反対側の太平洋上の100km以上離れた海域にいたと考えられます。

もちろんこのヘリが離陸したのは中国海軍の艦艇がこの海域を通過した相当後です。そして中国海軍が仮にそれを発見して撃墜するにしても、ヘリは離陸して10分後に墜落したとされており、中国海軍がレーダーで発見して攻撃をしたとするにしても空母から戦闘機を発進させ現場に到着するには時間が短すぎます。仮にミサイルで攻撃するにしても機影は水平線の下側に位置しており、ヘリも比較的低空を飛行していたという島民の話が出ていることから、島に隠れた状態での離陸になるたレーダでの発見されたのは墜落前のわずか数分前だったと予想できます。

残骸に弾痕無し

位置関係を想像する前に、何があったのかは回収された機体を見れば状況はわかります。

まず仮に中国海軍がミサイルで撃墜したとSNSユーザーが主張してるのであれば必ず炸裂した際に機体を貫通した弾痕が残ります。

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これはマレーシア航空を撃墜したロシア軍の対空ミサイルの予想図、下はウクライナ軍からの対空ミサイルにより被害を受けたSu-25です。このように対空ミサイルは破片を撒き散らし敵機を撃墜するということが行われており、必ず機体には何かが貫通した痕跡が残ります。

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一方、発見された機体の残骸には弾痕は現時点で見つかってないと考えられます。つまり現時点では常識的に考えてミサイルにより撃墜された説というのは根拠がありません。また中国海軍が仮に狙ったと考えるとしても、わざわざ逆方向に飛んだヘリを攻撃する前に上空を飛行する自衛隊の高価な哨戒機を撃墜するほうが先であり順番も逆です。

いずれにしても状況と残骸を見れば中国海軍が関与した可能性というのは現時点でゼロです。