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電気ショックを与え対象を無力化するテーザー銃。一般的に非致死性の装備としてアメリカでは広く運用されているものの1970年以降、死亡した人は少なくとも1000人以上いることが明らかになりました。

アメリカでは1974年以降、銃のより安全な代替手段として現在は米国の法執行機関の約90%でテーザー銃の所持と運用を認めており、組織全体としては約18,000の法執行機関だとしています。具体的に数を紹介すると全国で140,000個以上のテーザー銃が運用されています。

Twisted Testicles, Memory Loss, And Death – What You Need to Know About Stun Guns : ScienceAlert

しかし、テーザー銃やその他の伝導性電気兵器 (CEW) による死亡の報告はこれまで1,000件以上あるとしており、ジョージタウン大学医療センターの神経学と生化学の教授によると「テーザー銃は非致死性を意図しているものの深刻な影響を与える可能性があり、場合によっては生命を脅かす可能性がある」とし特に心臓病の人やコカインやメタンフェタミンなどの心血管系に影響を与える薬物を使用している人にとっては命を落とす可能性があるとしています。


テーザー銃

テーザー社の一般的なX26モデルについてみると約1.9 ミリアンペアのショックを対象に与えるとしています。これは人に深刻な感電を引き起こす10ミリアンペアをはるかに下回っているものの1/5の威力でも十分だとしています。

同社によると「基本的に、テーザー銃のエネルギー兵器は筋肉に信号を送り筋肉を曲げるように指示します」と述べています。これにより神経筋無力症と呼ばれる状態が誘発され体と脳の間の通信リンクが阻害され随意運動が困難になるとのこと。

テーザー銃の安全性は?

スタテン アイランド大学病院の神経外科医によると、テーザー銃について「非常に痛みを伴う重度の制御不能な筋肉の収縮を引き起こします」としており感電により心臓に深刻な影響を与える可能性はゼロでなはいとしています。

テーザー X26モデルによるショック後の死亡の少なくとも一部は、心室細動の結果である可能性がある心停止によるものであるとされており「心臓機能の混乱につながる可能性があり中等度から重度の範囲であり、場合によっては致命的となる可能性があります」としています。

テーザー銃の5万ボルトについては心臓に与える影響については安全だとしているのですが、科学的な正確性についてはよく分かっていないと主張してます。


日本ではテーザー銃は運用されていないのですが警察官は昔ながら装備と銃という装備にとどまっており、相次ぐ凶悪犯の取締はほぼ生身で行う必要があるという状況となっています。言い換えればテーザー銃を使用しなければならない危険な状態がアメリカにあるという意味であり、使用しなければ逆に警察官が死亡したり周辺の人が巻き込まれ死亡するということにも繋がります。

テーザー銃については一定の危険性はあるもののそうでもしないと犯人を無力化できず、次に使用されるのは確実に相手に致命傷をあたえる弾丸です。したがって、全体としては犯人の死亡率はテーザー銃により減っていると考えられます。

日本でテーザー銃が運用されない理由についてはテーザー銃銃そものもの価格が実弾を発射する銃よりも高いことと使用する頻度が少ないと考えられ弾丸を発射する銃よりもコストパーフォーマンスが悪いためだとされています。