Blue Moon MK.2_1

アメリカが今後行う有人月面探査。その拠点は氷が存在するとされる月の南極になるのですが、その有人月面着陸船の2機目としてブルーオリジンのブルームーンが採用されたと報じられています。ちなみに過過去の選定では選定されなかったのですが、なぜ再び採用されたかも記載していきます。

アメリカが主導する月面有人探査について元を辿ればブッシュ政権まで遡るのですが、紆余曲折あり月面有人探査はやらずに火星を目指すと修正したのはオバマ大統領です。彼は有人小惑星を探査を提唱し、小惑星を地球付近まで持ち帰るというよくわからない計画を練っていました。

しかしトランプ大統領時代になると小惑星案はすべて消し去り、月に戻ると再び修正されました。ただ、当初は月着陸は行わず月軌道上に小さい宇宙ステーションを作ってそこから火星を目指すとしていたのですが、アメリカが有人火星探査を行う前に中国やロシアが有人月面着陸を行う可能性が高く、そちらに注目が言ってしまうことを恐れた可能性があったらしく、現在アメリカは再び有人月面着陸を行った上で、本来の目的である有人火星探査に技術もつなげるという方針になりました。

そこで必要になるのはロケットと月面着陸船です。NASAは2021年に国内の3社案からスペースXのスターシップの派生型となる月面着陸船を選定しました。これは非常に巨大なものになるのですが、このときにブルーオリジンもブルームーンとしてNASAの契約獲得を目指していたものの結果的に失敗します。

▼ブルーオリジンの月面着陸船、右が当初のブルーオリジン案
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NASA当初、「1社ではなく複数の委託先に発注(契約)する」としていたものの、スペースXだけ選定したのは予算不足が理由だとしました。米国政府会計検査院も2021年7月にNASAの決定は「合理的」だと主張してたもののブルーオリジンがNASAを訴えたのですが棄却となりました。

ただその後、NASAは2023年5月に持続的な月開発契約としてブルーオリジンがアルテミス計画(NASAの有人月面探査計画名)における第2の月面着陸船として選定しました。この宇宙船はブルームーンMk.2(マーク2)と呼ばれ、2021年時点のものより改良されている特徴があります。

ブルームーンMk.2

Blue Moon MK.2

ブルームーンMk.2はその性能としてはほとんどが再利用可能な着陸船となっています。性能としては4人の宇宙飛行士を載せて30日間のミッションを行うことができます。合わせてブルームーンMk.2の派生型として月面輸送船も計画されており、こちらは一度に20トン、再利用しない着陸船だけの運用では30トンまで地表まで送り届けることができるものになっています。

再利用の仕組みについてはブルームーンMk.2は宇宙空間で液体酸素・水素を補給できる構造を採用しています。

ブルームーンMk.2についてはNASAのSLSやアトラスV、その後継となるバルカンなどで打ち上げ可能なものになっているといい、開発しているのはブルーオリジン以外にもロッキード・マーティン、ドレイパー、ボーイング、アストロボティック、ハニービー・ロボティクスです。

将来的にはアルテミス5という5回目のミッションで打ち上げられる予定で月軌道上に設置せれるゲートウェイという小型宇宙ステーションにドッキングします。その後2人が乗り込み月の南極に1週間の滞在を行う予定です。

つまりアルテミス5は2029年にも実施予定であり、ブルーオリジンとしては2024年までに月面への無人着陸を実施するとしています。

なぜNASAと契約できたのか

アメリカの宇宙開発については最初契約を逃してもその後、役目などを変えて再契約できる例が過去にもあります。その上でNASAが2021年にスペースXのみ選定しブルーオリジン案を拒否していたのか、考えられる理由はいくつかあるのですが、現在スペースXの月面着陸船を打ち上げるにはスターシップの打ち上げ技術が必須であり現在成功していません。

しかもあの巨大な着陸船を月面に着陸させる技術があるのか、特に人命がかかっている以上難しい判断となり、NASAとしてはブルーオリジン案も入れておくことで計画失敗に再び備えたことは間違いないと思われます。

いずれにしてもブルーオリジン案の着陸船はスペースXよりも簡単に行えるように見えるためもしかしたらこちらが主力着陸船として運用される未来も高いと考えられます。

ちなみにChatGPTによると、NASAと契約できた理由を憶測としてこのように挙げています。
1.技術の信頼性
ブルーオリジンは、宇宙航空技術の分野での長年の経験と実績を持つ企業です。彼らの技術は、再使用可能なロケットの開発や推進システムの革新的な設計において高い評価を受けています。NASAは、Blue Moonが要求される任務を達成するための技術的な信頼性があると判断した可能性があります。

2.費用効果の優位性
ブルーオリジンは、再使用可能なロケット技術を活用することで、打ち上げコストを削減することに成功しています。NASAは、予算の制約を考慮しながら、最も費用効果の高い解決策を模索しているため、Blue Moonの提案が他の競合企業よりも経済的に魅力的であった可能性があります。

3.ミッションの要件の適合性
NASAの要求仕様に基づいて、ブルーオリジンのBlue Moonが必要な任務を遂行する能力を備えていることが判断された可能性があります。Blue Moonは、月面着陸船や貨物輸送機として使用されることが計画されており、NASAが探査や将来の月面活動に関する目標を達成するために必要な機能や能力を提供できると認識された可能性があります。
「ブルーオリジンは、宇宙航空技術の分野での長年の経験と実績を持つ企業です」としてますが、ブルーオリジンはアマゾンの創設者が設立した新興企業であり実績と経験はありません。