有人宇宙船やサンプルリターンなどに搭載されているのはヒートシールドです。このヒートシールドは地表に落下する質量が大きくなればなるほど巨大なサイズが必要になります。特に有人火星探査となれば大気が地球の1/100程度しかなく巨大なヒートシールドが必要になるのですが、このヒートシールドは一般的に打ち上げるロケットに搭載されるためロケット本体の直径を上回ることはできません。

つまり、より大型のモノを着陸させようとした場合、より大型のヒートシールドが必要ですが、ロケット本体の直径に制限があり載せられないという問題がつきまとっています。


そこでESAは『プリドゥエン』と名付けらた折り紙技術を用いたヒートシールドを開発。このアーサー王の盾にちなんで付けられたプリドゥエンは2023年にも大気圏再突入試験を実施します。

そしてこのヒートシールドもう一つ特徴があります。再利用できる点です。近年ロケットの打ち上げコスト削減として再利用が必須となっており、プリドゥエンについても再利用可能なシステムとなっています。

具体的には大気圏突入後ヒートシールドは燃え尽きることはなく分離。落下地点に船を派遣して海面上でキャッチする方法で回収しする一連の無人システムだとしています。

試作機を用いた試験は高度17kmから落下させることを行っており、既にこの試験に成功しています。設計製作を行ったウェールズ企業スペース フォージとしては今年後半に最初の打ち上げとなるForgeStar-1Aによって宇宙からの大気圏突入を行いキャッチするとしており注目されています。

動画を見る限り、この耐熱シールドは小型衛星に搭載するというものになっており、現在の大型の有人宇宙船には対応していません。ただし、非常に軽量でサイズが小さいメリットがあると考えられ、大気圏突入という非常に難しいものを柔軟に行える点からも有効な案と考えられます。