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日本人の主食米。その品種の多さから見てもいかに私達が大切にしているのかがわかるのですが、今回は洗米です。なぜお米は洗うという行為が必要になるのでしょうか。今回は科学的な側面から紹介します。

一昔前から無洗米というものが出ているのですが、一方で長期保存には玄米から食べる前に精米したほうが食感が良いとも言われています。どちらにしても一般人にはよくわからないレベルと考えられるのですが、無洗米でも軽く洗う人がいるように洗米は一般的に行われています。

この洗米はヌカをとることで炊いた後の臭さをとるという理由もあるのですが、今回はそのような匂いではなくいくつか科学的な内容を紹介していきます。

Yes, You Should Wash Rice, But Not For The Reason You Think : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/yes-you-should-wash-rice-but-not-for-the-reason-you-think

お米を洗うと粘り気が無くなるのは本当か?

よくわ入れるのは洗いすぎるとお米の食感である粘り気が無くなるという話です。これに関して最近の研究で同じ供給業者からの3種類の異なる米を用いて粘りと硬さに対する洗浄の影響を調査しました。もち米、中粒米、ジャスミン米の3種類を用いて、まったく洗わない、3回洗い、10回洗いで調査しました。

結果洗っても洗わなくてもその品種による粘り気は同じでした。研究者らはこの粘り気である粘着性は表面のデンプン(アミロース)によるものではなく、むしろ調理プロセス中に米粒から浸出するアミロペクチンと呼ばれる別のデンプンによるものであることを証明しました。そしてアミロペクチンは米の種類により浸出量が異なるため、米ごとに粘り気が違うということを発見したとのことです。

そもそも洗う必要はあるのか?

非無洗米であっても上白などで精米した米はそのまま行けそな気がしますが、なぜ洗う必要があるのでしょうか。

一般的に洗米は匂いの原因になるヌカを洗い落とす目的以外にも昆虫、小さな石、殻の破片を洗い流すために世界の一般的な処理として行われています。一方で最近の研究では食品サプライチェーンにおけるプラスチックの多用により、米の包装(プラスチック袋または紙袋)に関係なく、同レベルのマイクロプラスチックが含まれていることも分かっているとしています。

この洗米により目安として最大20%ほどのマイクロプラスチックを洗い流せるとも示されています。

洗米でヒ素は流せるのか

このような植物は果実に土壌のミネラルを蓄積させます。そのため主食として人体に重要な栄養の供給源になるのですが、地下水などに含まれる有害なヒ素といったのもの実は吸収してしまっています。では洗米でヒ素は流せるのか?

研究では洗米することでヒ素の約90%を洗い流すことができるとされています。しかし、米に含まれる銅、鉄、亜鉛、バナジウムといった人体に必要なミネラルも同様に流されてしまうとのこと。米から人体に必要なミネラルを摂る割合は元々少ないため最善のアドバイスとして米は洗い、他の食べ物で栄養を摂ったほうがいいとしています。

米を洗えば雑菌も流せるのか

米は植物由来であるため相応の雑菌は含まれます。しかし米を含む様々な種子は私達人類は火を使い長時間焼いたり煮たりするためほとんどの細菌が死滅するため米を洗う洗わないで調理後の細菌量に差はないそうです。

しかし、米を炊いた場合も高温に強いセレウス菌と呼ばれる病原体の細菌胞子は死滅しないことが分かっています。この場合どうなるのか。例えば炊いた米を常温で放置しておくと細菌が活性化し増殖し始めます。この細菌は再び温めたとしても死滅させることはできず重度の胃腸疾患を引き起こす可能性がある毒素を生成します。
洗ったお米や炊いたお米であっても長時間常温放置しないほうが良いとしています。